青インクの東京地図 (講談社文庫 あ 47-1)
青インクの東京地図 (講談社文庫 あ 47-1) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
村上春樹氏とのコンビでおなじみの安西水丸氏のエッセイ集。東京の街がテーマになっており、物語的な要素もある。セピア色の写真がたくさん貼られたアルバムをめくるようなところがあって、読んでいるとノスタルジーが心に湧き上がってくる。ちょっと感傷的だが、視覚的で匂いまで感じさせるような水丸さんの文章が素晴らしい。読み手も銀座や巣鴨、浅草といった街に佇んでいるような心地になる。ここに描かれている人々や街の喫茶店やバーは、消えてしまったものが多い。それを考えると切なさに胸が締め付けられる。
2018/01/13
あじ
猥雑とした東京を歩く水丸さんの思い出は、ちぎれ雲のように流れていた。地名の記憶とともに縫いつけた“人の横顔”が、鮮明に棚引く昭和のエッセイ。「コブラ」や「コマンドー」が公開されていた時代の真空パックは、令和の空気に一瞬ふるえ馴染んでいった。
2021/06/02
apricot
自分の卒論みたいに、章ごとに場所を置いてる。その土地土地にまつわるエピソード。青戸、柴沼、錦糸町、九段、町家、冬木町、深川…。 東京には、私のまだまだ知らない一面が隠れている。
2014/04/01
moyin
水丸さんの最初のエッセー。水丸らしい感性で綴った一冊。国鉄時代の名残が残る東京の町。知り合い(特に女性たち)を語る時の冷徹なエロさ。
2020/03/25
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