ジェイムス・ジョイスを読んだ猫 (講談社文庫 た 38-2)
ジェイムス・ジョイスを読んだ猫 (講談社文庫 た 38-2) / 感想・レビュー
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中学の時に読んだと思い込んでいたけど出版日からすると高校、初めての座右の書を再読。余興のようなトリセツ・本編・おまけの構成。当時受けた衝撃の強さのせいか、余興部が鮮明に記憶に蘇る。 詩人・哲学者・批評家かつ評論家の著者の俳句流行の核心を貫く強力な分析は、文章を音楽性で説明し、西欧と日本の違いを足し算・引き算と指摘する。和詩の精神が小説に取り込まれた理由を明らかにし、カウンターカルチャーの消滅と世界の二極化を預言。 ポップとアブストラクトを兼ね備えた芸術家が炸裂させるブンガクは残酷に他者に無能を突き付ける。
2023/03/05
メタボン
☆☆☆ 一番面白かったのは「荻窪タイムス」次に「今月の十大ニュース」。無邪気なパロディは高橋源一郎の真骨頂。反面、「60年代のおもちゃ箱」は私の知識がないせいか、ひとりよがりに感じてつまらなかった。
2019/12/06
ちぇけら
ぼくが生まれる前にゲンイチローさんが書いた、ぼくが生まれる前の本や、ぼくが生まれる前に行った旅行についてのエッセーなはずなのに、どうしてだろう、今この瞬間に語りかけられている感じだ。とはいえ文学論なんかはてんでわからないので、語りかけられたところでこまっちまうさ。
2018/01/05
hirayama46
旅行記やテレビに関する話題もありますが、やはりメインは本の話であり、たぶん(少なくともこの当時の)高橋源一郎にとって何より重要なのは本であったのだろうな、という情熱の傾け方でありました。中上健次や谷川俊太郎を巻き込んでの学級新聞みたいなものも楽しいですね。
2021/02/25
oz
再読。「徹底的に、断固として、非妥協的に本を読む」。読書を創造的芸術と位置づける著者の本への(偏)愛ぶりが伝わる刺激的なエッセイ集だ。蓮實重彦文体での東武東上線批判、BGC(バック・グラウンド・シネマ)つまり本を読みながら観る映画という新機軸を創設、資本論を朝歯を磨きながら読むスタイルを提示、その一方で氾濫する「ポスト・モダン」という概念を舌鋒鋭く斬る。故中上健次氏の陽気な草野球姿が収められていたのが良かった。
2009/08/30
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