中国の歴史(二) (講談社文庫 ち 1-28 中国歴史シリーズ)
中国の歴史(二) (講談社文庫 ち 1-28 中国歴史シリーズ) / 感想・レビュー
Tai
春申君や呂不韋、王をしのぐ権勢家が簒奪一歩前まで行く。簒奪劇を期待する気持ちが一般にあり史記に残る。異常の人が天下統一を成す。始皇帝は魔性を秘めた人物。言葉で法を乱す儒者、武によって禁を犯す侠者、共に「法」に背いている。国家の根本「法」に反する者を優遇すべきでないと説く韓非は始皇帝好み。一方、荀子は、其れ殆ど儒無ければ邪、とし王道に秦は及ばないと説く。儒者が実際の政治面にも強い影響を及ぼし始めたのは、武帝の時代。李陵の降伏、弁明する司馬遷を武帝は腐刑に処す。司馬遷は自決すべきところを筆をとる為生きる。
2023/03/19
Akihiro Nishio
秦による全国統一から前漢の簒奪まで。秦の全国統一は始皇帝によって一気に成ったのかと思っていたが、何代もの王の間に数多くの戦争をして少しずつ領土を拡張したことを知った。それに比べて秦の滅亡はあまりにあっけなく、漢の成立は実に素早い。前漢は簒奪されたが、皇帝は後宮に何十人という后を持って、そこで生まれた子供を広い中国各地に王侯として封じ、また各地で何十人と子供を産む。チャンスがあって簒奪したところですぐにオセロのようにひっくり返されるのは目に見えている。なぜそれがわからなかったのか。
2016/02/19
彬
群雄割拠する時代から秦の始皇帝へと至り、そして有名な劉邦と項羽が登場する。彼らの話はかなり割愛されたのだろうがそれでも時代の躍動を感じることが出来た。正直こちらを主題にした本を読みたいと思ったほど。漢の功臣排除は人間的魅力があったといわれる劉邦でもその辺は抜かりなかったのだなと思った。呂氏の専横から徐々に力を蓄え武帝で花開く過程はわくわくする。その勢いのために後代が疲弊し、盛り返すことができず簒奪の憂き目に遭うことになるが…。王莽の登場と退場は失敗したからの汚名だとしてもこれではとため息をつきたくなる。
2013/01/31
白義
始皇帝の天下統一から陳勝、呉広の乱までの流れを法により興り、法により滅びた秦王朝とまとめた表現が実に上手い。確かに陳勝の反乱も、厳しすぎる法が生んだ絶望の一つの結果なのだ。お馴染みの項羽と劉邦の後は、シリーズ本でないとなかなか触れられない漢王朝の歴史の細かいところを扱っていてここらへんの知識の薄さを感じた。そんな漢王朝もやがて衰退し、王莽が反乱を起こして前漢は終わり、次の巻に続く、この流れがかなり面白くて俄然続きを欲する、やはり円熟の筆致だと感心しきり
2012/12/27
ten304
戦国から秦、漢、新の簒奪まで。武帝の時代に最盛期を迎えた漢も次第に暗い影が目立つようになり、晩期は外戚の専横と誅殺の繰り返し。複雑な姻戚関係も詳しく述べられていて、権力闘争の背景がわかってよかった。それにしても、一介の農夫、その上素行不良な劉邦が皇帝になるなんて、人生というのは分からないものだなあ…人間的な魅力と、前後合わせて四百年も続いた王朝の始祖とは思えない所業も合わせて、本当に面白い人物だと思いました。
2016/02/29
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