ちょっとそこまで (講談社文庫 か 49-1)
ちょっとそこまで (講談社文庫 か 49-1) / 感想・レビュー
ホークス
1980年代のエッセイ。鄙びた湯治場や秘湯を含む温泉旅の数々が面白い。40代の著者は平気でヒッチハイクし、民宿にふらりと泊まり、廃れた映画館やストリップに入る。まだ戦争経験者が幅を利かす、野蛮と人情が表裏をなす時代だ。群れる事に馴染めず、つげ義春的逃避趣味に憧れる著者の鬱屈が痛い程分かる。後半の東京論にもそれを感じる。東京は中規模の町がどこまでも散在し、それが都市の良さ(匿名性、充実した孤独)になっていると言うのだ。賛同する、というよりそうであって欲しいと思う。
2017/11/23
hitsuji023
タイトルどおり、その辺を散歩するような感じの本。読んでいると、仕事が休みの日にふらっとどこかに出かけたくなる。旅だけではなく、つげ義春についての考察も面白い。のんきなひとり旅好きにおすすめな本。
2021/03/28
Yasutaka Nishimoto
東京・下町の街歩きから、鄙びた温泉巡り、また海外に出かけてもその視線は普段の街歩きと変わらない。車を持たない著者が、1980年代に旅した各地、その文章は新鮮でいま読んでも色褪せない。
2017/11/26
uchi93
川本さんの街歩きエッセイが好きです。この本は古本屋で見つけました。「ちょっとそこまで」感覚の旅って素敵ですね。ローカル線であてもなくふらっと降りるなんてできれば最高だけど、ローカル線は列車本数が少ないから次の列車がいつ来るかこわくてできない。
2015/04/17
まさやん80
旅、温泉について書かれた川本三郎さんのエッセイ。まさにタイトル通り、「ちょっとそこまで」という感覚で川本さんは一人旅をする。行き先は、ローカル線の駅だったり、鄙びた温泉だったり、東京の下町だったりする。男にとっては目的のない旅というのは憧れだが、なかなか実践できない。どうしても観光もしてしまう。そういう意味では、川本さんの勝手気ままな旅のエッセイを読むことで、再び憧れを掻き立てるというのが、僕ら凡人の楽しみだろう。今度、東京に転勤になるので、東京の下町を歩いてみたいなあ。
2013/03/29
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