ノルウェイの森 下 (講談社文庫 む 6-10)
ノルウェイの森 下 (講談社文庫 む 6-10) / 感想・レビュー
yoshida
下巻も読み返す度に良さがある。タフ過ぎる永沢さん。自分に同情するな。努力と労働の違い。実践するにはタフ過ぎる。ハツミさんの死とそれに対する永沢さんの傲慢。ワタナベくんも何度も緑の心をえぐる。しかし、それは無知で若い為でもある。誰しも心あたりがあるのでは。レイコさんからの手紙の返信。物事を深刻に考え過ぎないこと、どれだけベストを尽くしても人は傷つく時は傷つく、何が良かったなんて誰に分かるのか?心が揺れますね。そして唐突な直子の死。ワタナベくんはさ迷い、生の象徴とも思える緑へ繋がる。切ない中に再生が描かれる。
紅蓮
上巻同様さらさらと読めたのは私がワタナベ君と同じく本質的に楽天的な人間だからかも。19歳から20歳、そして21歳とさらさら過ぎるものだし。多分。まあ彼のことは好きにはなれないが、もちろん。ウルグアイの件は睨んだとおりで悲しくなった。性描写はユーモア(語弊があるかも)と捉えてサクッと読んでいたので上巻の皆さんの若干否定的な感想を読んでちょっとびっくり。
2015/03/01
hitomi.s
再読。レイコさんと直子とワタナベ君のする「こんな未来も面白いね」の話が夢のように可愛らしくて、その分切ない。緑や永沢さんハツミさんは、圧倒的な現実にある日常の象徴のようでした。その真ん中にいるワタナベ君。それからワタナベ君から圧倒的な現実に生きる事と、自分自身とを見てしまう直子。レイコさんが上書きしてくれたお葬式。生きにくい現実と、忘れられない事実と、折り合いをつけなきゃならない自分と。生きるのは、大変だ。でも、明日もおいしくごはんを食べよう。
2019/04/28
イズム(清瀬泉夢)
不朽の名作は、読む人によって捉え方が違うから名作なんだと思います。自分は死者に対して生きている我々ができることは何もないけど、死者を思って強く生きることが唯一の生きている我々がすべきことなのかな?と、10年以上前に読んだときに思った感想です。改めて読んでみてもう一つ踏み込んだ考え方は、生きている我々は、死者を忘れていくことも大事なのかもしれない。そこに囚われてしまうことは一番してはならないことなのかもしれない。ということ。強く生きることよりも弱くても前を向かなければならないと、言われてる気がしました。
2014/07/03
Wisteria
初めて読んだのは図らずも19歳の頃だった。同い年の私からすると、この人達暗い青春送ってんなーとしか思えなかった。久し振りに再読して意外とユーモラスな小説だなと。結局はどんなにひどい事になっても自分で頑張るしかないんだと感じた。だからこそ、人の支えや温かさがすごく必要なんだと。矛盾しているようだけれど、あの頃より人生経験積んだ今、とてもそう思った。前向きないい小説だった。
2015/08/03
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