村上龍全エッセイ 1976-1981 (講談社文庫 む 3-12)
村上龍全エッセイ 1976-1981 (講談社文庫 む 3-12) / 感想・レビュー
こうすけ
『限りなく透明に近いブルー』から『コインロッカーベイビーズ』までの間に書かれた村上龍のエッセイ集。まだ大口を叩く前の謙虚さが良い。『ブルー』って何年も推敲していたのか。デビュー作でこれだけ注目されて、若くして作家になりながら、一発屋に終わらなかったのは本当にすごい。近代文学がテーマにしてきた苦悩や自我の問題はドラッグで簡単に体験できるものだから意味はない、というあたりが村上龍を理解するうえでとても納得。
2021/07/11
スミス市松
『限りなく透明に近いブルー』以降のエッセイ集。村上龍、小説にハマる。改めてこの人は知識ではなく感覚で勝負する人間なのだと思う。まだ経済に手を出さず「消耗品」でもない彼の言葉は瑞々しく、ドラッグの強烈な誘惑性を放っている。中上建次と語らい、村上春樹と出会い、海中やNYを彷徨い続け、そうして『コインロッカー・ベイビーズ』が書かれていく。この頃の村上龍にはロックがよく似合う。ジャズでもない、クラシックでもない、テクノでもラップでもない。ロックだ。昔のロックを聴いていると、言葉が濁流となって身体を抉り奪っていく。
2010/12/17
より
★★☆
2018/04/18
itsumiKshi
コインロッカーベイビーズを初めて読んだ時は、底辺から世の中をひっくり返す小説を書いてくれる人がいたのだ、と感動したのだが、村上龍のエッセイを読むと差に愕然とする。「野生の呼び声」の作者ジャック・ロンドンが、勇ましい自然主義者ではなく、実は太った薬中だったように、勝ち組のパリピが、安全な所から、底辺の人間をけしかけて、ゲラゲラ笑っているように見えてならない。
2020/03/24
ぽぽろんず
電車で旅行しながら楽しく読みました。なんだか『限りなく透明に近いブルー』を書いたことは、村上龍の人生にとってほんとに大きな出来事だったんだな、と思いました。防衛大のルポタージュや相撲取りの北の湖との対談が収録されていて、こんな仕事もあったんだーと新鮮です。
2015/10/11
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