虹のヲルゴオル (講談社文庫 は 5-7)
虹のヲルゴオル (講談社文庫 は 5-7) / 感想・レビュー
A.T
映画の中の女は、どんな世界を背負ってきたのだろうか?〜オードリー・ヘプバーン(肉体美から新しい女の美のイメージへ)からジャンヌ・モロー(男を転がす悪女、男の限界を超えてみせるから悪女…)までの13人の女優をテーマに解いた映画論でした。オサムチャンならではの飛躍が冴えたのは、最初のオードリーとジャンヌが高級娼婦役を「ティファニーで朝食を」「エヴァの匂い」でそれぞれ演じている比較にもってきたところ。さすがデス。
2016/01/03
がんぞ
映画評論は山ほどあるが、女優の生い立ち、学歴にまで踏み込んで「女の生き方」を解説した本書は、橋本治のメルクマール的必読の一書である。グレース・ケリーについて「スターでいるか、モナコの王妃になるか、選択を迫られた時、彼女は“より困難な途”を選んだ、と思う。その頃の女はそういう風に考えたものだった」と言うとき、ショービジネスのプライドか女性としてアイデンティティーか、人生の究極の選択を表現する。一世代を隔てると小説はほとんどが忘却されるが、映画になったら忘れ去られる事はない。映画は小説以上に民主主義の基である
2013/01/06
akanet
毎度思うけれど、橋本治はなんて女の気持ちが分かるんだろう。そして、だからこそ、男を客観的に見て的確に描写できてる。 白眉はバーブラ・ストライサンドの「もしも女の子が可愛くなかったら」。自分が美しいと思えないすべての女子に読んでほしい文章。 「つまんないもっともらしさを求めないで。『まだ前がある!』と思える時、その時だけが、人間ていうものが美しくなれる時なんだ」
2013/01/05
ふたば
本書のマリリン・モンロー論の中で、橋本さんはマリリンのことを「エロティックなカバーをつけられちゃってる『若草物語』(『七年目の浮気』)」だとずばり言っているけれど、この本だって似たようなもので、オードリーの可憐な写真が表紙だけど、開いてみれば胸にザクザク刺さる薬(毒薬かも)だった。最後のジャンヌ・モロー論なんか、『エヴァの匂い』を通して社会的人格としての「男・女」論を展開している。スターたちを語ったステキなエッセイ集だと思っていたら、人間として生きていくためのヒントを貰ってしまって驚いちゃった。ブラボー!
2012/11/18
らじお
13編の映画をそれぞれの主演女優を軸に解説。軽妙な語り口で内容と時代背景までを語っていく。手元において映画を1編観るたびに読み返したくなる1冊
2011/08/31
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