小説十八史略(一) (講談社文庫 ち 1-42 中国歴史シリーズ)
小説十八史略(一) (講談社文庫 ち 1-42 中国歴史シリーズ) / 感想・レビュー
兵士O
個々の超人的な才能や個性を持った英雄たちが歴史を動かしている群像劇のように感じました。そこには陳さんの脚色があります。しかし、それが故に一人一人の人物の生涯や行動が光を放ち、より切実さや残酷さが浮き出てきたように思います。特に後半の秦が強大になり、中国全土を統一していく所でエッジが効いてきました。もう一つ思ったことは、これがただの昔の終わった話ではなく、現代の我々の個性や行動と直結していること。出世欲にかられ、周りのことを道具としか思ってない呉起や、生涯プライドだけを優先した屈原みたいな人間は今もいるよ!
2022/12/09
紫陽花
かなり昔に読んだ本の再読。前回、帚木さんの「日御子」を読み、昔の中国の様子を描いたこの本を読み返しました。「日御子」では中国では馬車があったことが書かれていましたが、馬車が通る轍は秦の始皇帝の時に統一されたんですね。この本は、若い頃に読んだときは歴史小説として面白かったですが、年を重ねてから読めば自己啓発本となる良作だと思いました。
2019/01/12
崩紫サロメ
最近刊行される中国史の本は物語的な叙述を排したり、司馬遷の叙述をバッサリ斬ったり、とても新鮮で面白いのだが、そう思えるのは私がどっぷり物語的な中国史に浸かってきたからだろう。どこで浸ったかと思い返せば宮城谷昌光や陳舜臣の小説が大きいように思う。特にこの本は通史の形を取った物語で、こういうのに親しんできたからこそ、それらをバッサリ斬る歴史学の営みが面白く思えるのだ、と改めて思ったり。十八史略と言いつつも十八史略直訳ではなく、いろいろな歴史書からインスピレーションを得ていて面白い。
2019/12/03
シルク
高校のとき以来定期的に読み返しているシリーズ。中国史は陳舜臣で決まりだ。おっもしろい。情景が目に浮かんでハッとする(´Д`)…はるか昔、神話の時代から中国大陸の歴史を説き起こす。かつて天帝に10人の子あり。皆太陽である。10の太陽は、交代で天空にのぼりこの世を照らしていた。だがある日のこと、決まりきったお役目に飽き飽きした太陽たちは、揃って遊びに出かけた。空には一度に10の太陽が輝いた…そんな神々と地上の聖王の時代から、文字と呪術の帝国殷、古の周王室。諸王が覇を競い合い、実力ある人材が王のもと知恵を提供し
2015/12/28
ジンベエ親分
再読(初レビュー) 高校の世界史の教師が古代中国マニアで、試験は普通に教科書の範囲から出すものの、授業は1年かけて三国志時代までの中国史しかやらなかった。あまりに面白そうに講義するものだからすっかり感化されてしまったのだけど、この本を読む度にその先生を思い出す。マジに面白い。日本では吉川英治が書いて人気がある三国志時代より、春秋戦国時代の方が面白い、と思う。さてこの第1巻は神話時代から秦の中国統一まで。この時代だけで3巻くらいのボリュームにしてくれ~とか思いながら次に進む。や、楚漢戦争も面白いけどね。
2017/12/05
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