江田島殺人事件 (講談社文庫 う 5-6)
江田島殺人事件 (講談社文庫 う 5-6) / 感想・レビュー
がたやぴん
シリーズ前期の作品。この頃には光彦の捜査におけるポリシーが明確になっている。初期作品には、関係者、容疑者を前に事件を解く本格要素を持ち合わせたものもあるが中期以降ではまずお目にかかれない。犯人は逮捕されず、自殺するパターンが目立つ。犯行を看破され出頭するほうが少ない。この煮え切らない結末は、光彦の信条によるものだ。それを兄が的確に語る場面がある。シリーズの方向性が決まったような重要な作品に思える。この方向性だと、死なずに済む人も死ぬ。正に今作かがそれだ。《ヒロインは影は薄いが、嫁候補10に入れてよし。》
2016/09/17
RED FOX
浅見光彦名探偵シリーズ。江田島近辺がふんだんに登場して、思わず訪問したくなります。謎が謎を呼び、あっという間に読めました。
2014/09/17
しんた
ちょうどPKO法案が議論されていた時代の作品だった。タイミングの良さに戦慄。当時も武器商人を通じて政治家が私腹を肥やすと思われていたようだ。江田島が軍と結びつきが強い事は知らなかったが、江田島出身の元上司の鬼軍曹ぶりを考えると納得。
2015/09/20
ドナルド@灯れ松明の火
江田島にある、第1術科学校(旧海軍兵学校)の参考館に展示している東郷元帥の佩刀をめぐる殺人事件。「はちまん」と似ているプロットだ。昔海自に依頼され江田島第一術科学校でエリート達に教えたことがあるので、懐かしく読んだ。海軍兵学校を卒業し戦地へ赴いた若者の気持ち・想いを考えると、現代の日本人の考え方・戦後教育が嫌になる面がある。内田さんの戦争に関する想いが表れている作品である。
2014/06/08
シノウ
浅見光彦シリーズ。 何気ない事件が徐々に大きくなっていく。舞台は江田島で海軍兵学校の最後の卒業生の間に起きる事件の数々。 個人的に知った地名が多いので面白かった。 これといったトリックはないが徐々に大きくなる事件のスケール感に引き込まれるとともに、あとがきで綴られる作者の戦後感が印象に残る。 生粋な精神とは何か、平和を求める気持ちとは何かを少しだけ考えさせられた。
2019/05/18
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