四千万歩の男(三) (講談社文庫 い 2-16)
四千万歩の男(三) (講談社文庫 い 2-16) / 感想・レビュー
NAO
ニシベツで折り返して江戸に戻るまで。この巻は、珍しく忠敬の息子と弟子の色恋沙汰が描かれている。水戸黄門なみの各地での活躍もおもしろいが、江戸に戻って地図を清書するための下処理にきた男のエピソードがおもしろい。この男、駆け出し中の作家十返舍一九で、伊能家での会話から名作『東海道中膝栗毛』が生まれたという設定。いかにも井上ひさしらしい軽妙さがいい。新たな測量旅行に出る気になっている忠敬と、それに気づいたお栄の悲しみの対比も見事。それでも測量をやめなかったのは、時代が忠敬に正確な地図の作成を命じていたのだろう。
2019/12/30
ヴェネツィア
各巻600頁超もあるものだから、この第3巻あたりまで来ると、感想仲間も数えるほどの淋しさ。しかも、蝦夷地からの帰路とあって、新鮮味にも乏しい。さらには、お供の者を4人連れての忠敬の旅は、すっかり水戸黄門状態。ましてや、母娘の敵討の助太刀をするに及んでは。それでも、ともかくここまで読みすすめて、全5巻の峠も越えた。第4巻は、面白いらしいので、それを頼みに長丁場を乗り切ろうか。
2012/08/21
はーごん
蝦夷地(アイヌモシリ)測量編は完結したということでいいのでしょうか?『天地明察』を読んだ後に読むと、算哲先生の興した渋川派が幕末には没落していることがわかってちょっとショック。ただ、微積分を知らない江戸時代にケプラーの法則を理解して楕円運動の計算をしていることが衝撃でした。「公儀の役人は無知だから」といったことを忠敬は再三言いますが、正直無知なことのほうが当然な気が……。昔の人の学問への熱意を見習いたい。
2015/06/06
明るい♂
三巻も面白く、中だるみなく読み終えた。 しかし江戸時代というのは本当にすごい時代やね。 商人が蔑まれるなんて現代ではまさに天と地。 武士は喰わねど高楊枝なんて言葉もあるし。 松前の吉助を助ける時の小右衛門の伊達家に対する怒りやハッタリの場面ですごく溜飲が下がった。 長いけど、おもしろいよー。 忠敬の偉業全部知りたいのだけれど、生涯全部あと二冊では 無理じゃね?と、やっと気づいてきた(笑) 四巻へ。
2017/10/10
かぶき者
いやぁ読んでも読んでも歩いてる。そして歩くところには事件が起こる。もうコナン並みに毎日が事件ですね。でも飽きずに一緒に江戸に戻ってきました。まだまだ旅は続きそうでけど、お栄さんには戻ってきてもらいたい〜。
2018/12/18
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