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乳房 (講談社文庫 い 63-3)

乳房 (講談社文庫 い 63-3)

乳房 (講談社文庫 い 63-3)

作家
伊集院静
久世光彦
出版社
講談社
発売日
1993-09-03
ISBN
9784061855175
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乳房 (講談社文庫 い 63-3) / 感想・レビュー

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おしゃべりメガネ

記憶ではおそらく高校一年生の時に読んだ作品です。高校生で伊集院さんの作品を手にとるなんて、今思うとなんともチャレンジャー?な学生でしたよね。そんな自分が年月を経て、高校生の息子を持つようになり、改めて読み返してみると、やっぱり読書は'タイミング'が本当に重要だなと感じます。『乳房』は決して高校の時では、伝わらなかった作風がしっとりと味わうことができました。また『クレープ』の親子のなんとも言えないやりとりは、伊集院さんならではの描写なんでしょうね。『乳房』の静かな哀しさは、とにかく芸術的で涙があふれました。

2017/05/03

ふじさん

伊集院静の作品を読んでいつも感じることだが、氏らしき人物が作品の中に見え隠れすることだ。自分に対する思いが強い作家なのか。この短編集は、彼の名を世に知らしめた代表作である。表題作「乳房」は、技巧や飾りに頼らず、自分の胸の内を吐露するように書かれた作品で、作者の慟哭の思いが静謐な文章で綴られれている。「クレープ」は、離婚して別れた娘に久しぶり会う、不器用な父親の戸惑いや葛藤が描かれており、好きな作品だ。

2021/07/27

じいじ

伊集院さんの5つの短篇集。装丁が「早く読め!」と気持ちを急かします。どの話もちょっぴり切ないけれど、しっくり肌に馴染んで心地よい。表題作の【乳房】は、心に残る一作。妻が癌で入院。―夫は完治はないと悟っている。妻はそれを薄々感づいているが、明るくふるまう―満月の病室。夫が妻の背後からパジャマを着せてやると、妻は夫の両手を摑んでその手を乳房に…、細い指が夫の手を乳房に押し付ける。互いを思いやる心のうちが目に浮かびます。思わず妻・里子が、著者の亡き愛妻・夏目雅子に重なった。

2020/09/12

kinkin

どの話も、大人を感じさせる。静かに感情をゆすられる文章だ。表題作の「乳房」はその中でも印象に残った。闘病する妻と夫、かなり年下の妻だ。出会いの経緯なども交えながら治療に苦しむのを目の当たりにする。彼の心の苦しさがよく伝わってきた。私の家内も20年近く前に乳がんで手術し抗がん剤やホルモン治療で苦しんだ。そして初めて診断され結果を聞いたときの家内の戸惑う表情と、これからのことを考え想像したときの重さを思い出した。3人か4人ががんという時代、治療法もかなり進んでいると聞いた。伊集院作品はまた読んでみたい。

2024/11/05

ミカママ

おそらく再読。非常に読みやすい文章であっと言う間に読了しました。表題作品、ちょっと風変わりな夫婦だけれど、お互いを思いやる気持ちがいいなぁ。

2013/11/29

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