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村上春樹全作品 1979~1989〈6〉 ノルウェイの森

村上春樹全作品 1979~1989〈6〉 ノルウェイの森

村上春樹全作品 1979~1989〈6〉 ノルウェイの森

作家
村上春樹
出版社
講談社
発売日
1991-03-15
ISBN
9784061879362
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村上春樹全作品 1979~1989〈6〉 ノルウェイの森 / 感想・レビュー

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踊る猫

主人公の「僕」が身を投じる女性たちとの戯れについて考えてしまった。概ねそれらは虚しく終わる。だが、そう言い出せば私たちの人生だって虚しく終わる。記憶に留めておくべき人(直子/レイコ/ハツミ)は記憶からどんどん忘れ去られてしまい、愛していた確証さえも「時の洗礼」(永沢さん)に洗われて定かではなくなる。そんな郷愁とメランコリーはこの小説を読んで30年経った今でも不思議と胸を打つ。ただ、時が経ったせいか今では永沢という男の悲しさにも入り込めるようになった。こうして多彩な登場人物を備えている懐の深さが作品の魅力か

2022/10/05

tom

直子は、小学生のときに姉、高3のときに恋人を自殺で失った。この過酷な経験が、彼女を彼岸に向かわせ、そのころ妄想幻覚も始まったらしい。ワタナベは直子の不思議さと美しさに魅了され、彼女を愛していると思い、こちらの世界に連れ戻したいと願った。でも、彼女は、彼岸にとどまることを選び自殺する。ワタナベは絶望するけれど、レイコさんによって生き延びる。この本は彼の再生の物語。厳しい経験の中で人は何を語ることができるのかを書いた物語でもある。この物語の通奏低音は、主要な登場人物5人の性についての語り。その濃厚さに驚く。

2022/08/30

チェアー

2、3年おきに、もう絶対に会えない人に会いたくなった時に読む。読むごとにどの登場人物に共感するかや、性的な描写をどう見るか、どんな文章に惹かれたなどが一種のバロメーターになり、手元に置いておきたくなくなる。それで、だれかに売ったり、電車の網棚に載せて降りたりして、なくしてしまう。2、3年でまた買うのに。

2017/12/11

ぐうぐう

再読。学生時代の初読時には、ぼんやりと遠い物語に思えたものだけれど、今回の再読では、とても近しい物語に感じられたことが驚きだった。この小説は、直子と僕のふたつの世界、喪失と性(つまり、死と生)という対極の構図といった、他の村上春樹の小説と同じ構造を成している。なのに、この小説だけがまるで特別な感触を放っているのは、リアリズムで書かれたというだけではない秘密が隠されているような気がする。主人公の僕と同じ年頃に読んだときには遠く感じられた物語が、ハンブルク空港に降り立つ僕と近い年齢として再読した今、(つづく)

2010/12/09

くらら

「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している」この一文の細かなニュアンスを伝えるために様々な技巧が凝らされ、人の死や"性"が用いられている。簡易に言語化出来ないニュアンスを引き出す描写は特筆すべき。「自作を語る」にて著者が仔細に描写した旨記述していたようにも思うが、冗長にも感じる点が散見された(長編小説未経験だった私には文量が相当多く感じた)。

2017/01/01

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