小さな王国・海神丸 (少年少女日本文学館4)
小さな王国・海神丸 (少年少女日本文学館4) / 感想・レビュー
拓也 ◆mOrYeBoQbw
中篇小説。谷崎潤一郎作『小さな王国』再読。地方都市に赴任した教師の視点で、一人の生徒”沼倉”が起こす事件が、語り手の教師も巻き込んでいく物語です。一種のフィクション、コミュニティ形成を題材にしたSFですが、シンプルな物語の中にボルヘスや後期エンデの様な味わいもあり、平凡な街の日常から幻想とも言える結末に落ち込んでいく、谷崎の耽美作品とはまた違った深さを感じる作品です。(・ω・)ノシ
2016/09/16
月夜乃 海花
今回は子供向けの本なのにまさかの谷崎潤一郎の作品が収録されていました。谷崎潤一郎のイメージとしては痴人の愛や鍵などのエロティックなものしか思いつかなかったので、大丈夫かなぁと思いましたが、谷崎潤一郎の子供時代を考えさせられるような作品でした。特に母を恋うる記は描写が素敵でこんな作品を書いていたのかと谷崎潤一郎の新たな一面を見ました。また今回、収録されている著者はみんな夏目漱石と関係があったらしく驚き。改めて夏目漱石は日本文学の先駆者だなと納得しました。
2017/12/20
きざはし
谷崎の『小さな王国』がどうしても読みたくて購入。しかし野上弥生子の『海神丸』も良かった。九州の漁師4人が遭難する話。テンポが絶妙で、映画を観ているような臨場感。児童文学に向いているのも『海神丸』の方か。
2010/11/05
レモンケーキ
表題作の『小さな王国』と『海神丸』は小学生が読むにはハードだし、『母を恋うる記』と『おみつさん』は内容が地味すぎる。少なくとも中学生以上向け。大人が読む分には面白い。
2015/09/10
Fu
谷崎潤一郎が書いた小さな大国は谷崎潤一郎のイメージとは異なって子どもの世界秩序・子ども社会の関係がいきいき描かれている。陰影礼賛とか春琴抄とか刺青とかなんだか艶かしい優美さ(?)をテーマに書くのが谷崎だと思い込んでいたので以外な作品だった。母をおもふ記はその傾向あるけれど。海神丸は日本文学でもこのテーマってやっぱり出てくるものなのだなーって思った。鈴木三重吉の「おみつさん」は前も読んだけど、丁の照れながらも甘える様子が微笑ましい作品。
2013/03/15
感想・レビューをもっと見る