日本近代文学の起源 (講談社文芸文庫 かB 1)
日本近代文学の起源 (講談社文芸文庫 かB 1) / 感想・レビュー
パラ野
再読。「告白という制度」と「児童の発見」が個人的課題。登場人物の過去についてなぜ事細かに書かれるのか。小説の形式としての機能不全家庭の中にいる子供の内面的独白の作り物感について、考えるヒントになるわけで。制度によって作られたものとしてのトラウマとかいろいろ。「告白という制度」の性欲に関する部分はノートに整理しておくこと。
2014/09/20
東京湾
漱石はなぜ「文学論」を書く必要があったのか。本書はそれを端緒に、日本近代文学の成立と構造について解析する。「風景の発見」は正しく近代文学の"起源"を暴く論考であり、風景が見出されるには先んじて「内向」があって、内面の誕生があって初めて風景が生まれるという転倒が興味深い。その「内面」の発見については言文一致体の誕生に起因するものであるというのも面白かった。如何せん知識不足で理解が及ばなかった点が多々ある。日本文学読解にあたり重要な書であることは間違いないので、いずれ読み直したい。
2020/04/20
はすのこ
人文系を自称したいのなら、通るべき道だろうか。名著である。
2016/06/18
Automne
読了。 こういう批評系の本読んでるのって、結構スノッブで岩波文庫の哲学()とか前時代的文豪()とか蓮實重彦大好き野郎()とかと同じ匂いを感じていて、「頭良いと思われたいエリート主義の産物」それ以外の何者でもないと思っていたのだけど、人生において2人の師に3年隔てて薦められたので、流石にそろそろ読んでみた。 たしかに論理的であるし、文学を文学と思わん的な、日本の文学を「転倒」として見るというのはとても参考になりました。 ただ、論客を神格化するなと、インテリ層には言いたい。
2022/03/15
oz
再読。柄谷の仕事は構造主義から出発しつつそれを突破しようとして、ある種の現象学的な地点から言葉を発信していた。それはあらゆる先験性への問いかけであり、日本近代文学においては風景であり内面であった。それらはアプリオリではなく歴史性(起源)を隠蔽させられた制度でしかない。その桎梏から逃れ、臆見を廃すること、その批評的課題を初期から中期にかけては主題を変え繰り返し論じている。しかしこれは思想的後退や保守的反動を意味しない。文学者にとって、本質的な課題は基本的に一つ以上は持てない、それは誠実さの問題なのだ。
2014/03/28
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