中原中也 (講談社文芸文庫 おC 1)
中原中也 (講談社文芸文庫 おC 1) / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
先日、古本屋の100円コーナーで中原中也の名言集を見つけ、読んで泣いたらその日が中也忌だったという出来事があり、文学的トキメキを感じて図書館からこれを借りて来た。中原中也と友人だった大岡昇平による中原中也評伝。半分は作品の分析に費やされているので、詩に疎い私には難しかったが、友人ならではの人となりを伝える記述が面白かった。揉め事を明らかに面白がっていた中也の顔を思い出し、改めて立腹する大岡昇平(笑)。「下男の目に英雄なし」と言うが、近しい者にとっては誰もが長所と短所が生々しいただの人間である。良かった。
2018/10/28
冬見
友人大岡昇平による中原中也評伝。◆白洲正子→青山二郎・坂本睦子→大岡昇平→中原中也つながりで読んだ。詩はその性質上、高次元、形而上的な方向へ昇ってゆくものが多く、よって評伝はかなりの読解力を要される。詩を鑑賞する目と耳が未熟なわたしはくらくらへろへろ。太平洋戦争のさなか歩哨に立つフィリピンの原野で中也の「有照」を口ずさんでいたという大岡の姿が非常に象徴的だと感じた。「理解というのでもなく、感心する、というのでもなく、誰かの詩をわかるためには、時と場所を待たねばならない」(飯島耕一「中原中也と大岡昇平」)
2021/01/15
かふ
中也の最初の影響は富永太郎にあったとする大岡昇平。早逝の秀才詩人は、フランス象徴派のヴェルレーヌやボードレールを訳して、それを自身の詩の手法とした。中也の才能を最初に見いだし、彼のフランス読書趣味(フランス象徴派)は、中也に影響を与えた。以下、https://note.com/aoyadokari/n/n221dcc83c51d
2021/11/11
Happy Like a Honeybee
吾定義す。俗人とは、物象の有機的要素のみを見るものと。 中原中也と共に時間を過ごした、大岡昇平の一冊。 当事者であるから、等身大の中原像を表現でき説得力のある文面だ。
2017/04/29
てら
非常に優れた評伝であり、追悼の書。大岡らしいばっさり斬って捨てる簡潔な表現と、遠い昔に死んだ友人への「愛」が感じられる。これは大変なことやと思うよ。
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