晩菊・水仙・白鷺 (講談社文芸文庫 はD 1)
晩菊・水仙・白鷺 (講談社文芸文庫 はD 1) / 感想・レビュー
AICHAN
図書館本。図書館がやっと開館した。またすぐ閉まりそうで、予約していたこれを急いで受け取りにいった。林芙美子の晩年の短編6編。旧仮名遣いであり段落があまりない様を見て、読みにくそうな作品だなと第一印象。しかし、読んでみるとすらすらと読め、つっかえることもない。まさに円熟の筆致といったところ。
2021/07/17
fseigojp
映画原作 杉村春子が主演したのは、これくらいではなかろうか 上原謙のダンディ気取りで金を無心するダメ男の演技は最高だった
2015/08/23
うちこ
著者は昭和24年に長編『浮雲』を発表した二ヶ月後に47歳で亡くなっていて、この本にはその直前に書かれた短編が収められています。 どれも展開が容赦なく、読み終わるたびに「おもろーーー!」とやんちゃ盛りの少年のような勢いで感想の言葉が脳内にあふれ出ました。 どんなむずかしい食材でも、干からびたり腐りかけている食材でも美味しく料理してしまう。これは包容力なのか創作意欲なのか。たぶん後者なのだろうな。 ありふれたしんどい人生を文字にするプロの技に舌鼓、みたいな読書時間でした。
2023/03/12
hirorin
以前、関係のあった20歳年下の男が訪ねてくるのに備えて56歳の女が少しでも若くあの頃と同じように美しく見られたいと思って身支度を整える。男はお金を借りたいだけだけど、一応女を誘う。心の中では、女はお金をたくさん持っているし、殺してしまってもいいかも?と。でも女の方が一枚も二枚も上手。一流の芸妓だったのだ。56歳の女は、今の言葉で言えば「私は今もイケてる?」「まだ男に誘われる?」が気になるのだけど、しっかりとしていて。どう言ったらいいか分からないけれど、男の正体を見破って「あ~あ」と思うお話。
2022/08/15
mak2014
1948・49年発表の6篇、晩菊、水仙、白鷺、松葉牡丹、牛肉、骨を収録。いずれも過去を牛のように反芻しながら生きている男女が主人公。特に女性が主人公の場合その度合いが強まる。過去の様々な経験を経て、ある種の諦念の境地に達しているわけではなく、昔の思いが沈殿しきらず、まだ心と体に影響をもたらしているようだ。林芙美子もそういう思いの強い人だったのではないだろうか。「晩菊」では昔の年下の男の来訪を身ぎれいにしながら待つ最初の数ページが女と言うものが凝縮されているようで圧巻。
2016/10/15
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