巴里祭,河明り (講談社文芸文庫 おF 1)
巴里祭,河明り (講談社文芸文庫 おF 1) / 感想・レビュー
モリータ
「河明り」は締めくくりの「河には無数の乳房のような水源があり…」の部分だけ先に読んでいたので、この名文に引きずられて、書き手が作家で書くために河沿いの家と娘に関わって雪の河岸から南洋まで行って、という筋のおもしろさがわかるのが後手になったのと、娘の結婚相手の屈折がやや突然に語られてあまり共感できなかったのはもったいなかった。かつての東京の川の話は『ノートルダム・ド・パリ』の地下水路ばりにもっとディティールが語られても楽しかったかな。「巴里祭」はざっと読み、「鶴は病みき」は前に読んだのでパス。
2014/09/14
tsumugi
読みやすい。複雑な人間関係、複雑な心理もさっぱりと読めてしまったのは文章力の賜なんだろうな。すごい。 さらりと読めるくせにどの一編も濃厚なほどに色んな感情が詰められていて贅沢だった。また読みたい。
2017/09/16
mio k
彼女の一足跳ねたダンス足の左の靴の踵に、床を滑って右の踵が追い迫り、あなやと思う間にひらりと新吉の膝の上に彼女は乗っかった。新吉は柔らかいものの無限の重量を感じ、体は華やかな圧迫で却って板のように硬直して了った。彼女は困惑から泌み出る自然の唐突さで言った。ーー日本の娘さんは悲しそうに男の方にお逢いなさるそうですね。」
2015/08/03
伯楽星
巴里祭、河明り、鶴は病みき
2020/04/19
hukuro_hanao
一言一言がなぜかしみいる。
2019/01/13
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