虚妄の正義 (講談社文芸文庫 はE 1 現代日本のエッセイ)
虚妄の正義 (講談社文芸文庫 はE 1 現代日本のエッセイ) / 感想・レビュー
ロビン
『萩原朔太郎全集』から「結婚と女性」「社会と文明」「芸術に就いて」などのテーマ別にエッセイを収録した一冊。朔太郎の思想は今なら炎上しそうなものもあるが―特に女性に関してーそれでも彼のアフォリズムは真理の一面を突いており、どのエッセイもよく勉強され、理知的で、物事の本質をつかむ詩人の力によって、非常に内容が充実していて驚かされる。ひどく読みごたえがあるのだ。朔太郎はアイロニーを言う時でさえ真剣であるし、己を描くに赤裸々である。それにしても何という冴え渡った言語化能力であろうか!朔太郎は実に偉大である。
2024/08/16
冬見
前橋文学館の「この二人はあやしい」展への道中で。半年か一年かそれくらい前に買ってはじめの方を読んだときに「この人のことを嫌いになってしまうかもしれない」と思い、途中で暫く放置していた本。思想は思想として、哲学は哲学として、作品は作品として、人間は人間として、前よりもうまく折り合いをつけて考えることができるようになり、最近やっと続きを読み始めた。「著述と天才」の章が特に面白かった。"「理解されない!」という嘆息から、人は悲痛感に似た誇りを感じている。"が印象に残っている。わかる。
2019/01/18
藤野
●旅行 旅行の実の楽しさは、旅の中にもなく後にもない。ただ旅に出ようと思った時の、海風のように吹いてくる気持ちにある。 旅行は一の熱情である。恋や結婚と同じように、出発の前に荷造りされてる、人生の妄想に充ちた鞄である。
2017/07/28
桜井晴也
「変わりつつあるものは何だろうか? 政治でない。芸術でない。我々の時代の家庭である。」
2009/12/17
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