月は東に (講談社文芸文庫 やA 4)
月は東に (講談社文芸文庫 やA 4) / 感想・レビュー
しゅん
何故か起こしてしまった先輩作家の妻との姦通。主人公格の男は何も説明できないし、原因と結果のつながりを判別できない。その事実の露呈は恐れ、その責めを自分が負う流れは理解し、先輩作家の怒りも道理に思う。しかしながら、避けよう避けようと思いつつ気づいたら近寄ってしまう、特段魅力を覚えていたとは思えない女性との邂逅に、なにができるというのか。不可抗力の度し難さに戸惑い続けるさまがひたすらに続いていく。このどうしようもない彷徨に、他人の無理解の徹底に、だんだんグッときてしまう自分がいた。身に覚えのある戸惑いだった。
2022/09/14
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