アヴァンギャルド芸術 (講談社文芸文庫 はB 11)
アヴァンギャルド芸術 (講談社文芸文庫 はB 11) / 感想・レビュー
しゅん
具体的世界と抽象的世界のいずれかを追求するのではなく、二界の往復運動にアヴァンギャルド芸術の実践を見る。ここでの「具体」は自然をそのまま写す(花田がいう「チェーホフ式の」)写実的リアリズムだけでなく、内面のありのままを表象しようとする精神分析的リアリズムも含まれているようだ。本書は議論の中で右往左往を何度も繰り返しているが、これは往復運動の実演を意図したものだろう。わずかだが、『東京物語』への批判的言及があり、大家として評価が確立される前の小津安二郎のイメージが垣間見られる。
2021/01/12
mstr_kk
たいへん読みやすく、軽快で面白い。「リアリズムの公式」を繰り返し教えてくれて、眉唾ではあるけど勉強になる。同じモチーフがちりばめられているので、読んでいて宝探しみたいな楽しみも感じる。
2012/08/18
ULTRA LUCKY SEVEN
どう考えても吉本隆明よりクレバーだと思う。その後を考えても。共産党に入っても、どこか共産党を馬鹿にしてて、インテリであってもインテリを小馬鹿にしてて、こういう大人は大好きだ。
2012/03/02
naoya_fujita
本編を読んでいて面白さと同時に感じた疑問や違和感について、沼野氏が解説で良い点と悪い点をきちんと論じてくれていて、非常にありがたかった。
2011/04/21
yunomi
マルクスを鍵にして、アヴァンギャルド芸術の可能性を読み解く1冊…マルクスを読んでないから今ひとつ分からないんだけど、外部に存在する「もの(=具象)」それ自体の反映としての「内面(=抽象)」を再び具象化する事で外部へ解き放つ、というか…ただそれが、海とか山とか「もの」に自分の心理をなぞらえる、みたいな感じだと、ただの文学的な比喩という技術論になっちゃうので、そうではなくて、外部と内面の対立を維持したまま統一する事が、著者の推奨する社会主義リアリズムと、に繋がるらしい。うーん、難しい。
2010/08/02
感想・レビューをもっと見る