日本文壇史 1: 回想の文学 (講談社文芸文庫 いD 2)
日本文壇史 1: 回想の文学 (講談社文芸文庫 いD 2) / 感想・レビュー
パトラッシュ
近代文学の胎動期である文明開化期は、文学だけで独立した歴史を語れない。西洋から大量の新思想が流入する一方、実力次第で出世できる社会への変貌で多くの若者が将来に戸惑った。官吏に軍人に学者にと立身の手段を模索した結果、思いがけぬ人と人のつながりが生じるのが面白い。政治的関心の高まりや西南戦争で急激に勃興したジャーナリズムに加わる者が増え、文藝への関心が高まっていく姿は山田風太郎の明治ものの原点にようだ。まだ全体のプロローグであるが、登場人物が多く本名で記述されるため文学と歴史に通じていなければ理解は難しいか。
2020/08/02
奇月針
この作家が有名な時にあの作家が学生でこんな事件があったのねなどと、枝分かれしていくのが面白い。 日本文壇史だけど、ドストエフスキーの死亡が突如綴られていたのは不意打ちでした。
2019/03/09
AR読書記録
手をだしてもた...全18巻... ともあれ今巻では明治3年から18年まで、開化期の日本において、“文学”が奈辺にあったかを見る。政治的主張のためや啓蒙といった面が強く、自然、政治状況についての記述も多い。このあたりは文学という面に限らずに歴史全体の勉強にもなる。まだまだ自由は少ない(讒謗律とか福島事件のへんとか苛々するな)。すでに大人として開化期を迎えた層でなく、若い学生として新たなものをどんどん吸収していく世代の活躍が楽しみに思われるが、それはこのあとだな。
2014/12/21
rbyawa
h054、ソフトカバー版にて読了、「新・日本文壇史」とはまた別の内容なのかなこれ。大雑把に話は幕末、滝沢馬琴が生きていたような時代から始まり、まず新聞の発生の辺りから語られ、それこそ日本の小説が生まれたかどうか、というところで1巻が終了。ちょくちょく政治の事情も語られるものの、やっぱり詳しいのは新聞に関してではないのかな、これが庶民に至るまで文字に振れた最初の媒体ということになるのかな。仮名垣魯文、坪内逍遥の名前は知っていたものの成島柳北の名前は聞き覚えがなく、新聞記者たちの名前もぽちぽち抜けがあったな。
2017/07/31
ukikusa
明治初期の文壇は、お笑いと新聞だったのか、と思いました。おもしろかったです。
2012/05/12
感想・レビューをもっと見る