風貌,姿勢 (講談社文芸文庫 いC 10 現代日本のエッセイ)
風貌,姿勢 (講談社文芸文庫 いC 10 現代日本のエッセイ) / 感想・レビュー
ごみくず
速読★5.読了日は概算。井伏氏が関わった作家達の感想を纏めたもの。特に太宰治のものが多く、共通の知人尾崎一雄氏の項に太宰の名作『斜陽』の元ネタとなった貴婦人(太田静子)の日記と、彼女への印税の支払いの取り決めについて記した個所が目から鱗。太宰の死後、身籠った太田静子から印税の半分を要求されたが、恐らく生前に交わした月1万円(現在で50万円位?)の養育費条件の要求か。尾崎宅の近くに住む彼女へ井伏や伊馬らが訪問し交渉に当たった。太宰への恨みはなく子供を楽しみにしている姿が印象的。(記:2024年8月5日)
2001/04/04
ごみくず
通読1★5.
2024/08/07
フリウリ
「ぼくは太宰の作品も好きであるが、人となりをまだ好きであった。太宰は小説が書ける。ぼくは小説の書ける人が好きだ」p119。井伏鱒二は無類の小説好きである。小説を書くのは人である。ゆえに、小説を書ける人が好きになる。太宰だけでない。例えば正宗白鳥、森鴎外。岩野泡鳴、梶井基次郎、中野重治。すぐれた小説を書く人を尊敬し、その秘密を井伏なりに探究する。その「小説オタク」ぶりに、アタシは感動する。本書の幾編かは福武文庫の「文士の風貌」に収載されていたと思う。小説好きにとっては、読み応えのある、尊い本である。9
2022/11/11
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