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絶望の精神史 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

絶望の精神史 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

絶望の精神史 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

作家
金子光晴
出版社
講談社
発売日
1996-07-10
ISBN
9784061963764
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絶望の精神史 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ) / 感想・レビュー

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メタボン

☆☆☆★ 生きづらい世だったのだろう。そんな中でも金子光晴はぶれずに生きた。そして日本をシニカルに眺め、金を作りながらアジアを放浪した。アジア放浪の波乱万丈は「マレー蘭印紀行」「どくろ杯」に譲るとして、この書では生きづらい戦中においての反戦反骨精神を学びたい。

2018/04/02

兎乃

再読 / “フランドル遊記・ヴェルレーヌ詩集”を先日読んで、思わず手に取る。活字、たかが文字列に打ちのめされ 絶望を枕に読む。何度でも。

2015/10/20

三柴ゆよし

明治、大正、昭和を生きた老詩人が、それぞれの時代に固有の毒ガスにまかれて、無惨に萎れていった人たちを回顧する。「絶望」を鍵詞として書かれた本書は時代史であり自伝であり、なによりレクイエムである。母国の陰湿な島国根性にも欧米への盲目的憧憬にも染まらず、流れ葦のごとく諸国を放浪し、自身を「エトランゼ」と称した詩人の生きざまに心打たれると同時に、うすぼんやりした不吉が逼迫の絶望へと変じつつある現代への示唆を多く含む。いまの空気、なんだか厭だな、と感じている人は読むべき一冊。きっと同じ絶望のかたちが見つかるから。

2019/04/11

ゆう

島国日本特有の風土は、単一のナラティブを形成しやすい環境だ。狂信者は、閉じた社会の中で生まれる。開国以来、日本人は外との比較で相対的な自らを発見し、その絶対性が一度は揺らいだ。しかし染み付いた絶対感から完全には抜け出せず、狂気に走ったのが昭和の戦争だった。過去の黄金時代や理想像のみに依って、日本人の姿を決めつけることに対しては警戒が必要だ。現実の、生身の日本人と向き合う必要がある。信じるものを失い、寄る辺を無くした心境を「絶望」とすれば、日本人にはこの絶望こそが必要だという。坂口安吾の堕落論にも通ずる。

2024/02/08

おおた

『<狐>が選んだ入門書』で知った一冊。家父長制というのは他人への共感・推測を打ち切って、えらい人という立場を存分に利用した結果、一部の人だけが幸福になれば良いという世界だった。そこに共感できない著者による自分と身近な人たちの生きづらさを解明しようとする。今では当然とみなされる女性や子どもの権利も、一昔前は非常識な戯言でしかなかった。明治の開国から広まった民主主義が名前ばかりで、支配/被支配の関係で成り立っていたことが著者の自伝を通して語られる。

2018/07/18

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