空想家とシナリオ,汽車の罐焚き (講談社文芸文庫 なB 8)
空想家とシナリオ,汽車の罐焚き (講談社文芸文庫 なB 8) / 感想・レビュー
yunomi
「空想家とシナリオ」は転向によって創作と思想の繋がりが断ち切られた後に、作家は何を書けば良いのか、どう書けば良いのかという自問自答をそのまま作品化している。その問い掛けは、著者の政治的立場を越えて、世界の全てを言葉に置き換えたいという、私達の根源的な欲望の表れでもあるのだ。
2015/01/24
げんがっきそ
『空想家とシナリオ』を読むと「空即是色、色即是空」というものを思い出した。 『汽車の罐焚き』は、汽車の走る最中の描写がとても白熱して引き込まれてしまった。 この2篇には労働者や生活者が出てくるのが非常に気になる。中野重治がプロレタリア作家として、労働や生活にある「実質」の欠如を感じていたためではないだろうか。革命のために必要なのは実行であり、書くことや考えることの無力さはないだろうか。(しかし革命思想の元はマルクスとエンゲルスの書物だったようにも思うが)。
2020/10/07
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