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さようなら、ギャングたち (講談社文芸文庫 たN 1)

さようなら、ギャングたち (講談社文芸文庫 たN 1)

さようなら、ギャングたち (講談社文芸文庫 たN 1)

作家
高橋源一郎
加藤典洋
出版社
講談社
発売日
1997-04-10
ISBN
9784061975620
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さようなら、ギャングたち (講談社文芸文庫 たN 1) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

奇妙な、というのではないが、少なくてもこれまでの小説の概念からすれば、素人の小説、しかもヘタな小説に見える。価値体系の中に置いても、はみ出してしまいそうだ。文体は徹底した口語体である。隠喩を駆使するなどといった凝った文章技法は全く見当たらない。もっとも、小説全体がメタファーなのだ、などと言われてしまえば、はあそうですかと引き下がらざるを得ないのだが。直喩でさえ、ほとんど用いられることはない。全体を貫流する構想もあるのかないのかわからない。コラージュと評する向きもあるようだ。ともかく新しいタイプの小説だ。

2015/10/26

佐島楓

すごい。急にボキャブラリーが貧困になってしまったが、とにかくすごい作品だった。解説の次に本編を読み、最後に解説を読み直して、すこし頭が整理されたが、興奮してしまってくたくたに疲れているのに眠れない。どうしてくれる高橋源一郎、こんなこと滅多にないんだぜ。

2018/09/25

zirou1984

言葉の使い方、表現においては詩小説だけど、言葉を喪失し、懸命なリハビリの過程そのものという意味で私小説なんだと思う。本当の悲劇は悲劇そのものを言葉で表すことができないから、言葉は自然と迂回する。しかし、痛みや悲しみから決して目を逸らさずに紡いだ言葉は優しさと結び付き、泡となって一緒に弾け飛ぶ。だからこそ、どれだけ遠回りを重ねても、こんなにもまっすぐに届いてくる。これからも悲しみと出会うだろう。またやらかしてしまうんだろう。それでも別に構わない。少しだけ上手く失敗すればいい。そんなことを教えてくれる作品だ。

2015/03/29

touch.0324

詩人のわたし【さようなら、ギャングたち】と恋人の【中島みゆきSB(ソングブック)】、猫の【ヘンリー四世】は、現実と非現実、高揚と静謐の狭間を緩やかに進む。「Don't think.Feel!」読み始めて5分で自分に言い聞かせることになる。図や漫画をも取り込んだ自由な表現、並ぶ断章、ナンセンスなセンテンスは、一見難解な詩のようだが、読後には「確かに物語だった」という確信と鮮烈な思い出が残る。安部公房的ポストモダンに村上春樹の喪失感と倉橋由美子の諦観を足した世界。通低する愛と寂寞。聞きしに勝る迷作、いや名作。

2014/12/09

hanchyan@だから お早うの朝はくる

ハイティーンの頃(笑)、自分をハメた作品のひとつ。何十年かぶりで再読。この作品の魅力を紹介(レビュー)するのはとてもとても難しいのだが、登録しちゃったからそんなことは言ってられないので頑張ってみよう(笑)。ひとつだけ言える(というか改めて気づいた)のは、多くの小説がなにか(テーマ的なもの)を『象徴』する(あるいはその方向へ向かう)のに対し、本作では『戯画化』を志向しているように思われる、といううことだ。テーマの方へ読み手を導くのではなく、テーマは既に厳然とそこにあって、だからこその戯画化。…う~ん。(↓)

2019/06/02

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