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死の床に横たわりて (講談社文芸文庫 フA 4)

死の床に横たわりて (講談社文芸文庫 フA 4)

死の床に横たわりて (講談社文芸文庫 フA 4)

作家
ウィリアム・フォークナー
William Faulkner
佐伯彰一
出版社
講談社
発売日
2000-12-01
ISBN
9784061982413
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死の床に横たわりて (講談社文芸文庫 フA 4) / 感想・レビュー

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遥かなる想い

アメリカ南部の貧農一家の風景を 描く。語り手の頻繁な移動ゆえに ひどく 読みにくいが、個々の独白から当時の雰囲気は 伝わってくる気はする。 それにしても この生命力のようなものは 何なのだろうか..母アディオス中心に まわる家族6人は粗野だが、強くたくましく アメリカの田舎の風景が浮かぶような、 そんなお話だった。

2016/08/28

ケイ

アディは、死んだら遠くに埋葬して欲しかった。それを叶えるため、家族は棺桶を作り、彼女の遺体を中に入れ、一週間かけて運ぶ。息子達や夫など彼女の周りの人々の気持ちや意識が順々に現れる。刻々とかわる意識。吐かれた気持ちも、口には出されない想念も、その土地に漂い、交差し、たゆたう。貧乏な南部の大家族では、死を悼みつつも、生きていくという現実があり、時にそれは薄情にも見える。家族とは一塊であっても、それぞれに考えも生き方も違うという部分が強調されて感じた。しかし、大きな流れの中ではそれは些末なことかもしれない。

2016/11/03

NAO

結婚したら、人生が変わると思っていたアディ。辛い人生も結婚によって変わるに違いないと信じていたアディ。だがそうではなかったと気づいたとき、彼女は父の言葉に取りつかれ、生きながらにして死んでしまったのだろうか。「死の床に横たわる」というのは、死んでからだけのことではないのではないかと私は思った。アディの絶望など知る由もなく、亡妻を埋葬したら歯を治そうということだけを考え、何日もたたないうちに新しい妻を連れてくる夫アンスのあまりの無知と不道徳。その温床となる、南部のなんという貧しさ。

2016/12/27

市太郎

故郷ジェファソンに自分の遺体を埋めてほしいとの遺言を残し、死んだ妻との約束をかなえるため、田舎者の一家は遺体と供に旅に出る。日本なら火葬して骨壷を運べば良いだろうが、アメリカは土葬であるからそのままの遺体を棺に入れて遠くまで運ぶことになる。これが冒涜的、喜劇的な物語になることは想像に難しくないだろう。フォークナーはその家族あるいは死者を、まことに冷やかに描き、同情すら出来ない。(特に父)15人の内的独白によって進んでいく物語は興味深いが、語り手の強烈なキャラクター性も手伝って、読んでいて眩暈しそうになる。

2013/07/20

fishdeleuze

十五人の五十九回にわたる内的独白および意識の流れが錯綜しものがたりが立ち上がってくる。舞台を見ているような錯覚に陥った。主人公のアディは死者としてものがたりが進むごとにその存在感を増し、その死者を巡って一癖も二癖もある貧農の一家の心象風景や行為がまるで蟻塚でも作られるように立体的に語られる。語りの凄さとなんというかエグさみたいなものに時々読み疲れしながらも、その生々しさに掴まれて捉えられる感覚だった。あとがきで訳者がドストエフスキー、バルザックらの怪物的巨人と比しているのは納得した。すごいものを読んだ…

2015/05/30

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