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神楽坂,茶粥の記: 矢田津世子作品集 (講談社文芸文庫 やJ 1)

神楽坂,茶粥の記: 矢田津世子作品集 (講談社文芸文庫 やJ 1)

神楽坂,茶粥の記: 矢田津世子作品集 (講談社文芸文庫 やJ 1)

作家
矢田津世子
出版社
講談社
発売日
2002-04-01
ISBN
9784061982932
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ジャンル

神楽坂,茶粥の記: 矢田津世子作品集 (講談社文芸文庫 やJ 1) / 感想・レビュー

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YO)))

(主に男の所為で)生き辛い世の中で,状況を打破することなど思いもよらず,といって諦め切ってしまうわけにもいかず,胸底に悲痛な意志―燠火のように微かながらも確かな熱を持った―を抱えた女たち.殊に「痀女(くじょ)抄録」は可也ハードコアな不幸話で,傴僂の寿女さんが不憫でならず,彼女の明るさ剽軽さがいっそ哀しい…. しかし品のある文章.旧字旧かな遣いで読みたい.

2014/09/19

relaxopenenjoy

矢田津世子(つせこ)短編集。 父、神楽坂、旅役者の妻より、女心拾遺、凍雲、痀女抄録、茶粥の記、鴻ノ巣女房の8編。 ジャケ買いならぬ、タイトル読み(神楽坂だから)。しっとりした文章が美しい。刺繍職人(寿女さん)について回想する「痀女」が良かった。「神楽坂」の、針で毛虫を刺すところの描写もすごいとしか言いようがない。年表より、坂口安吾と恋愛していたほか、芹沢光治良とも家が近く、文通してたと。明治40年生まれ。37歳の若さで結核で亡くなる。

2022/07/07

ひとみ

実業家の妻とその妾、職人、役人の妻、女中…等、様々な女性たちやその周辺に起きるありふれたドラマの影の葛藤にスポットをあてたような短編集。再読。家や制度に縛られた哀しく見える人々の生き様を、否定したりせずにそっと受け入れるような優しさに読んでいてつい泣きたくなってしまうのだった。登場人物たちの会話や動作が目に見えるように活き活きしていて、映像にしてほしくなる。どれも好きだがメロドラマな「凍雲」が切ない。

2013/06/01

綿菓子

綺麗な日本語だなぁ

2010/06/24

ぼっせぃー

「父」「神楽坂」「女心拾遺」「凍雲」「痀女抄録」「茶粥の記」「鴻ノ巣女房」。どれも、掌に乗せた透明な立体を思わせる小説。家族を底辺に、女中や妾といった浮遊した存在を頂点に、形作られる立体。読者はその立体の中に電光の如く発生する情感を目の当たりにする。さらに素晴らしいのはどの短篇も他の頂点から眺められるよう、人物それぞれに簡潔ながら十分な奥行きが与えられていることだと思う。景色の描写は品が良いのに終わり方がちょっとぶっきらぼうなのも愛らしい。道具立ては時代がかっているが古さはなく瑞々しく読めるものばかり。

2020/07/16

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