旅の誘い 大佛次郎随筆集: 大佛次郎随筆集 (講談社文芸文庫 おQ 1)
旅の誘い 大佛次郎随筆集: 大佛次郎随筆集 (講談社文芸文庫 おQ 1) / 感想・レビュー
shinano
優しい人大佛次郎。そのことが随筆の中に、過去の事象への目線や歴史上人物への想像だったり、自分の目で見、肌で感じ、耳を傾けた風景に「やさしさ」が隠れん坊をしているのを感じる。 大佛を知る人々が、優しい人だったということがわかるようです。 友人のひとりであった直木三十五が「大佛くんは鳩のような目をしている」と。 猫を愛しんだおさらぎさん。冷たいと言われる猫に、猫の気持ちもわかってあげられる優しい心の目線がある人の随筆はどこか温厚だね。
2018/12/20
キョートマン
奥州藤原三代の棺を開ける調査に立ち会った話をもうちょっと詳しく読みたかったな。ミイラの学術調査で、小説家って立ち会いに呼ばれるもんなんか?
2024/04/12
月音
筆者の優しく、穏やかな人柄が落ち着いた文章にあらわれ、じっくりと読める随筆集だ。鋭い観察眼は特に人物評に生かされている。時に批判をしても、相手を思うゆえの気遣いがある。風景の中に歴史が多く残る横浜、鎌倉に暮らした筆者はそれを肌に感じ、呼吸していただろう。外出先や旅先で、自然に時間が過去へと戻る。史料と想像で描き出した北方の王者・藤原秀衡の風格は、すぐにでも小説の主人公になりそうだ。彼の手厚い庇護と弁慶、伊勢三郎の忠心を語ることで、語られない義経のひたむきに駆けていく姿が目に浮かんだ。
2024/08/06
ぴよぴよーーーーー
旅先での景色・周囲の文人や芸術家・身の回りの品々に関する随筆を収録。あとがきでも描写されているように、非常に優しくそれでいて周囲を客観的に捉えられる性格をしているのが伝わってくる。道沿いの花々や、寺の山頂から眺める夕陽といった自然的なものを慈しむ姿勢からもそれが味わえる。また、印象深いのは時代とともに消えゆくものを後世に伝播することを重んじている点。一冊通じて本当に色々な出会いがあった。小説家としても、読者にとっての水先案内人としても、非常に優秀な方だったのだろうなと窺える。
2024/02/14
TOKUMOTO
昭和中頃の随筆。身の回りのこと、旅のこと、同時代の作家のことなど。オルゴールや幻燈のことなど、今は関心を持たれなくなったものだけれど懐かしい。
2015/03/24
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