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路地 (講談社文芸文庫 みE 2)

路地 (講談社文芸文庫 みE 2)

路地 (講談社文芸文庫 みE 2)

作家
三木卓
出版社
講談社
発売日
2002-12-01
ISBN
9784061983151
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路地 (講談社文芸文庫 みE 2) / 感想・レビュー

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YO)))

鎌倉を舞台にした連作短編集.各編の登場人物たちは互いに行き合ったりすれ違ったりするのだけれど,著者もあとがきで書いているとおり,鎌倉の旧市街のスケール感の中では自然に収まっていて良い.みなそれぞれに自分勝手で,でもその事を時には反省したり悔いたりしないこともなくて,誰かにとっては救いになっていたりもする,そういった人の心の機微が,街の情緒に過剰に頼ることなく良い塩梅で描かれている.テロル青年や嘘つき女などでアクセントも効かせながら.

2013/11/19

ハチアカデミー

B 良い。非常に良い。鎌倉を舞台とした連作短編。土地と、そこに住む人々の姿が描かれる。善意と悪意の微妙な境目を表現するのが上手い。また、下手なりに、誠意を持ってコミュニケーションを取る登場人物たちには好意が持てた。黒井千次や堀江敏幸に近いか。「レイチェル・チャンの前髪」が特に良い。図書館の写真集をサバイバルナイフで切り取る主人公の物語は、平穏な町の中の、ちょとした狂気。その狂気が静かに燃え上がるラストが印象的であった。他にも、血縁関係のない疑似親子を描く「いくたびか繰り返された夜」も◎。

2012/04/19

桜井晴也

「『ところできみ、きみはどうして前髪をおろさないんですか』/『は?』/『ぼくの妹は、前髪をおろしています』/雅人は非難をこめていった。そのいいかたの強さに、娘は驚いて顔を赤くした。/『横でわけるなんて、ぜんぜん似合わない。止めなさい』/『は?』/娘は、当惑していった。/『どうしてそんなこというんですか。藪から棒に。失礼じゃありませんか』/『ぼくの妹は、横でわけたりしていない』/雅人はいった。/『だからいうんです』/『それが、わたくしとどういう関係があるんですか』」

2012/04/21

夕木 

人間の味わいが濃く出てる。三木卓さんとか、例えば清岡卓行もそうなんだけど、人間の「移ろい」を背景とともに片側一車線で描くのがとても秀でてる気がしたのです。詩人だ、なにをさせても詩人だ。

2015/01/06

つーさま

初めてのミキタク。谷崎賞受賞作品にしてはめずらしく連作短編集。舞台は鎌倉。そこに住む人々の心のカゲ(生活する中で生まれた)を丁寧に描いている。日常生活の破れ目から溶けだす人間の持つ黒い部分にハッとさせられる。

2012/09/08

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