鬼火,底のぬけた柄杓: 吉屋信子作品集 (講談社文芸文庫 よJ 1)
鬼火,底のぬけた柄杓: 吉屋信子作品集 (講談社文芸文庫 よJ 1) / 感想・レビュー
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ガス火が正に鬼火に変わる「鬼火」も凄みがあるが、女マッサージ師が、「自分を鶴の生まれ代わりだと思ってくれ」と言った男とのいきさつを客に語る「鶴」が良い。本当のところの世知辛い事実は了解されてあるのだろうが、何というか"物語"になるまで繰り返し話されてきたのだろうなと思わせる厚みを感じる。
2019/01/08
いの
私は「花物語」が好きです。今回は趣向を変えてこの本を選びました。孤独のなかに天使をみた「童貞女昇天」は純粋に信じるものがひとつしかないだけに妙に恐い物語でした。若い女の肉体にマリア様を重ねてみる尼僧に邪念というものが本当になかったのか、寂しいお話でしたけれど美しい形で終わっています。拒絶すらしようのない「鬼火」もすごい。よく考えたらゾクッとする「宴会」はなかなか小粋な作品です。後半は俳人伝となっています。
2020/01/09
zumi
全体の雰囲気が本当に気に入った。幻想的で蠱惑的、こういうの結構好きです。初めて吉屋信子の作品を読んだが、こんなに面白いものだったのですね。特に女性の描き方がいい、美と狂気と孤独と寂しさの全てが、こう絶妙なバランスで溶け合ってますね。「童貞女昇天」で火の中に、「もう一人の私」で海の中に、それぞれ入っていく場面に惹きつけられた。吉屋信子の少女小説(という括りでいいのか不安だが)、他にも読んでみたくなった。
2014/06/01
こうすけ
鬼火だけ読んだことがあり、なかなか忘れがたかったので、本作を手に取る。怪談と評伝ものをあつめたもの。これがまた、すべてがいい!捨て作なし!吉屋信子、これはもう少し掘り下げたい。
2024/10/27
ちゃっぴー
短編7編と俳人伝。ゾゾッとする狂気に美しさがありどれも面白かった。「童貞女(びるぜん)昇天」や僅か10ページくらいの「鬼火」が印象に残る。「墨堤に消ゆ」では火焔のなかでの木歩と声風の別れに鼻の奥がツンとした。
2019/04/11
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