戦後短篇小説再発見 15 笑いの源泉 (講談社文芸文庫 こJ 16)
戦後短篇小説再発見 15 笑いの源泉 (講談社文芸文庫 こJ 16) / 感想・レビュー
あ げ こ
小沼丹「カンチク先生」が特に面白い。先生と教え子のズレ、先生が教えたいこと、教え子にわかってもらいたいことと、教え子が興味を抱くものの、ズレ。そもそもカンチク先生自体がだいぶズレた人物であるし、教え子の方はこっそりと、妙なところに食いつくズレっぷり。記憶に残る、何気ないズレの面白さ。情景と会話をぽんぽんと、感情も無駄なく、的確に、重過ぎず、軽過ぎず、ニュートラルだけれども、無機質ではない。あっさりと可笑しくて、ほのかに微笑ましい。
2014/12/15
ジョナ
「笑い」は低級な娯楽などでは決してない。笑いには人生経験に基づいた深い洞察と鋭い批評がある。願わくば、今後の文学に上質な笑いが絶えないことを。
2011/06/07
風見鶏
まずこれは喫茶店とか静かなところで読んではいけない。一番笑ったというか、笑いを堪えていたのは筒井康隆の『寝る方法』。一番質が悪いなと思ったのは『伊勢氏家訓』。プロットもなにもなくだらだらといったい何の話だこれはというものを語った挙げ句の最後のオチが全てだったんだろうなあ。途中で投げそうになった。あとは小沼丹、開高健、堀田善衞はチェックしておこうと思う。この三人を知れただけでもこのアンソロジーは収穫だったような気がする。他の作品も読んでみたい。
2013/07/03
地雷原
時系列順に短編が並んでいるので、自分はどのへんの空気感が好きなのか如実にわかる。獅子文六が一番楽しめて、次が椎名誠だというのは我ながら驚いた。最初と最後じゃん。後は開高健「ユーモレスク」も面白かった。「笑いの源泉」とあったが、読んでいて実際に笑ったのはこれだけだった。(別に笑えたから良いとか、笑えなかったから駄目だとかいう意味ではない)
2010/10/20
Hiromi Haruki
獅子文六が大好きなので、手に取ったが、どれもそれぞれに面白く読み飛ばしてしまうものがなかった。 なかでも、北杜夫の「箪笥とミカン」は主人公の気持ちにシンクロして恥ずかしくなり、椎名誠の「日本読書公社」は氏ならではのナンセンスさに惹きつけられた。
2016/01/05
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