異域の人,幽鬼: 井上靖歴史小説集 (講談社文芸文庫 いH 3)
異域の人,幽鬼: 井上靖歴史小説集 (講談社文芸文庫 いH 3) / 感想・レビュー
河内 タッキー
「信松尼記」は同じ井上靖の長編「風林火山」の後日譚という感じで合わせて読むと面白い。「玉碗記」「明妃曲」は似たような作りになっていて、歴史ミステリーとしても読めた。特に「明妃曲」は著者の創作ではあるが、その見事さに感服した。こんな事実があってもいい。
2018/05/09
saba
西域ロマンと言えば井上靖。遣唐使ロマンと言えば井上靖。大学で東洋史学専攻を選択したのには、井上靖の影響も少なからずある。「併し、」の使い方は独特だが、好み。漢文の素養のある人の文章はリズムよく美しいなと惚れ惚れする。
2015/02/08
ソングライン
中国西域と日本の戦国時代を題材にした歴史小説の短編集です。武田の滅亡を信玄の娘松姫の視線で描く信松尼記と匈奴の王に嫁ぐ王昭君の悲劇を語る明妃曲がこころに残りました。
2017/02/15
AR読書記録
そうか5年前に読んでたのか。その時は『聖者』にずいぶん魅かれたようだけど、今回なんか心に残ったのは『信松尼記』かなあ。とはいえ、内容というか、見てきたように書くなあというところが気になったというか。それでいうと『明妃曲』というのも、ノンフィクションふうの装い具合がどんなレベルだろうか気になってたり。つまり、そこに描かれている歴史上の出来事や人物のことを読んでるという気分より、著者はそこに自分の何を仮託しているかを知りたい、感じ取りたい気分が増してる。いやそういうもんだろうけど。昔はもっと物知らずだったし。
2016/03/16
hirayama46
中国・チベットものと戦国時代の日本を描いた歴史小説をまとめた短編集。ちなみに戦国ものは3編で、それぞれ武田信玄とその家族、明智光秀、松永久秀をテーマにしております。このなかでは悪人っぽさのない松永久秀が新鮮な「平蜘蛛の釜」が良かったかな。それ以外では、西域の制圧に人生をかけた後漢の武将である班超を描いた「異域の人」、さきほど読んだ酒見賢一「ピュタゴラスの旅」にちょっと近い読み口の寓話的歴史小説の「聖者」が好みでした。井上靖の文章は読んでいて心地よいですね。
2015/02/24
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