世相・競馬 (講談社文芸文庫 おJ 2)
世相・競馬 (講談社文芸文庫 おJ 2) / 感想・レビュー
たぬ
☆4 小説8+評論1。大阪が実に生き生きと。実を言うと大阪って個人的には二大住みたくない都道府県のうちの一つなんだけど濃ゆいキャラや土地が多いので読む分には面白い。「四月馬鹿」の武田麟太郎なんてものすごく惹かれるじゃないの。坂本龍馬の妻の母親を描いた「螢」も好き。
2021/11/04
長谷川透
都市や街を描いた作家と言えば、海外に目を向ければ何人も名前が挙がるが、日本に限定すると即座には名前が挙がらないが、織田作之助は間違いなくそのリストの中に入る作家だ。そして都市の書き方であるが、多くの作家と異なり、その土地で生きる人間だけで以て一つの都市の姿を描き切ってしまうから彼の存在は特異である。洒落気と俗気、浮世への関心、逞しさ。オダサクはこれらを描くことが大阪の作家たる所以であると「大阪論」で書いているが、彼の小説にはこれらが洩れなく書かれている。地勢や風習を描かずとも大阪の街は大阪たり得るのだ。
2013/04/14
だまし売りNo
夜鳴きそばは元々、そばを売るものでしたが、昭和以降はチャルメラのラーメンのイメージです。江戸時代の江戸では夜鷹そばと呼ばれていました。上方はうどんが主で、夜鳴きうどんと呼ばれました。織田作之助「世相」には「鈴の音が聴えるのはアイスクリーム屋だろうか夜泣きうどんだろうか」との表現があります。この小説には大阪府南河内郡林田村林田国民学校の訓導(教諭)が登場します。
2019/07/03
トムヤムクン
この人の文章は、読んでいて心地よい。そしてめちゃくちゃ人間臭い。憧れ
2009/02/27
kuro
安吾、太宰、織田作が明るいネクラか暗いネアカかと言えば、ネアカ・ネクラ・ネアカではなかろうか。 個人的には「聴雨」、「競馬」、「世相」が特に印象的。「俗臭」にせよ、戦後の終末世界を描いていながらどこか陽気な雰囲気が備わっている(しかもそれを1946年に発表している!)のが今読むと不思議と心強い。
2020/07/26
感想・レビューをもっと見る