袋小路の休日 (講談社文芸文庫 こM 1)
袋小路の休日 (講談社文芸文庫 こM 1) / 感想・レビュー
みーまりぽん
一時期もてはやされ、やがて役割を終え用済みとなりフェイドアウトしていくものたちへのレクイエム集、といったところか。対象は人物であったり路面電車であったり街であったり。 小林信彦さんというとおそらくエンタメ系作家のイメージが強いかもしれないけれど、よく考えたら「日本の喜劇人」「世界の喜劇人」ぐらいしかちゃんと読んでなかったみーまりぽんであった。積んであるから許して。 この作品自体は珍しく喜劇要素ゼロに近い。でも、最後の自作年譜がちょっと面白かったー あと、何度も言ってるが「虚栄の市」を読んでみたいな~
2014/11/12
アメヲトコ
昭和55年の作品。著者自身をモデルにしたとおぼしき中年の物書きを主人公とした短編集。共通するモチーフは高度経済成長のなかで失われていくものへのノスタルジーで、なかでも時代に取り残された一人の編集者(実在のモデルがいるらしい)を描いた「隅の老人」が印象的でした。
2016/10/27
tsukamg
小林信彦が、自身を思わせる人物を主人公にして書いた、連作短編集。全体的に暗いトーンで、自己のありようというのはどうしようもないのだという諦念や、自嘲と自虐が感じられる。まるでつげ義春作品のようだ。しかし、癖になりそうな不思議な魅力がある。
2024/01/10
COPPERFIELD
小林信彦は時代批評的な優れたエンターテイメント小説が多いが、こんなゴリゴリの私小説チックな仕事もしている。
きりぱい
あれ?同じ宏?と気付くのが3編目だというのも遅いけれど、そんな宏がひたむきに過ごした時代を振り返る連作だった。そんな宏がどんな宏かというと、器用でもなくやりたいことを模索しながら、高度経済成長期を物書きとして変遷してきた妻子ありの現在中年。なかば冷やかな観察眼を大いに持ち味にして、1編1編独立した作品のようにその都度関わる人物の個性が濃い。ほんとこのタイトルがいいよなあと思う。「根岸映画村」と「路面電車」が好きだなあ。
2010/08/16
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