文学入門 改訂 (講談社文芸文庫 いD 21)
文学入門 改訂 (講談社文芸文庫 いD 21) / 感想・レビュー
ヴェルナーの日記
世界の文壇史とはかなり違った毛色をもつ独特な日本文壇界がわかり易く分析・解説。特に私小説に対する類推・分類の仕方は流石と云うしかない。日本の近代文芸批評や文学理論等に興味のあるお方であれば、必読書というべき一書である。
2016/11/24
カブトムシ
話を前にもどしてタテ型の作品なる「城の崎にて」に現れるモチーフ、すなわち死または無を意識する時に生命が理解され、私たちの存在が明らかに認識される、という方法は、日本の芸術家が好んで使う方法であって、この「城の崎にて」と同じ系統の感動を与える作品が他にもいくつかある。現代文学の中でそれをあげてみると、堀辰雄の「風立ちぬ」(1936年~38年)、尾崎一雄の「虫のいろいろ」(1948年)、島木健作の「赤蛙」(1946 年)、梶井基次郎の「ある崖上の感情」(1928年)などがある(伊藤整旧版「文学入門」p198)
fseigojp
戦後、どうしてベストセラーになったのか時代背景のほうが興味深い
2016/10/17
kuririn
近代文学の解説本。太宰治や芥川龍之介、幸田露伴など文豪の作品はなぜ書かれたか、なぜそのテーマか、作品の内容と社会との関係性はどうなっているのかがなんとなく理解できる。「できるだけ分かりやすい形」で本書を書いたと序文にあるが、難解な部分もあり面白く読める部分もありで、一読では吸収しきれない。とはいえ、既読の作品については内容の理解と整理に役立つし、未読のものは勘どころをつかむ助けになる。入門と題しているが、ある程度著名な作品を読んでいることに加え、それらが書かれたときの社会情勢を知っているとなお楽しめそう。
2021/11/06
ヴェルナーの日記
日本近代文学と西洋文学の差異を比較しつつ、その違いを明確に論述されている。 先に読んだ『小説の方法』や『小説の認識』に比べて初心者にわかり易く書書かれている。 全般的に伊藤整氏の著作は、読者に専門知識を要求され、ややもすると難解になりがちだが、本作は例外的に読み易い。 まさに『文学入門』と言ったところだろうか。
2013/01/01
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