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金色の死 (講談社文芸文庫 たAB 1)

金色の死 (講談社文芸文庫 たAB 1)

金色の死 (講談社文芸文庫 たAB 1)

作家
谷崎潤一郎
清水良典
出版社
講談社
発売日
2005-03-11
ISBN
9784061983984
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金色の死 (講談社文芸文庫 たAB 1) / 感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

谷崎潤一郎の初期の短編を収録。どの短編も非常に面白く、無我夢中で読んだ。文章の良さ、物語作りの巧さが光る。この時期は純文学の枠内に収まらずに、作家としていろいろな物語の形式を試していたことが分かる。「人面疽」はホラー、「小さな王国」は奇妙な味の短編、「途上」はミステリとして読める。「人面疽」が一番のお気に入りだった。美女の膝に憑りついた不気味な腫物をめぐる物語で、恐怖のボルテージがじわじわと上がっていく。虚構と現実との関係への問いかけが大家谷崎潤一郎らしい。

2016/08/04

優希

谷崎の大正期に書かれた短編が7編おさめられています。どの短編も有名作の中に埋もれていたような輝きがありました。幻想小説、怪奇小説、フェティシズムといった要素があちこちに散りばめられています。どの作品も秀逸で、引き出しの多さには驚かされました。流れるような美しい文章に導かれるまま読んでいくと物語それぞれの表現に心地よく浸ることができます。手や足といった体の書き方が巧みでうっとりしました。このような作品こそ隠れた「名作」であり、谷崎を谷崎たらしめているのでしょう。

2015/05/07

HANA

文豪の大正期に書かれた作品を収録した一冊。著者自身の評価は低めなようだが、怪奇小説や探偵小説を愛する者なら避けては通れない作品があるし、著者の作品に通底する主題がダイレクトに表れたものはあるしで、著者を読むなら避けては通れない本だと思う。表題作こそ芸術の悉くが西洋の作品、それもフェイクというので薄い舶来信仰が透けて読むのが辛いが、その他の作品は全て当たり。大正に勃興した映画を扱った都市伝説めいた「人面疽」やプロバビリティーの犯罪を描いた第一作「途上」等、後世に残る作品が書かれたのもこの時期なんだなあ。

2024/01/06

優希

谷崎の大将時代に書かれた短編集になります。どの短編も有名作品に埋もれつつも輝いていたと思いました。幻想小説、怪奇小説、フェティシズムといった要素があちこちに散りばめられているのが美しい。流れるような文章に引き込まれ、物語に心地良く浸ることができました。

2021/06/20

Gotoran

谷崎の大正期の7篇の作品。表題作『金色の死』:江戸川乱歩の『パノラマ島奇譚』に影響を与えたと云う怪奇的幻想小説。「人面疽」:映画を観ることから生まれる異次元感覚と恐怖を描いた怪奇幻想小説。「小さな王国」:社会主義云々より追い詰められた主人公の理念と理性の崩壊がシニカルに描かれた政治小説。「途上」:私立探偵を名乗る見知らぬ男に突然呼び止められ、妻の死の顛末を問われ、畳みかける様にその死を糾弾する探偵と追い込まれる主人公の恐怖が心理的に描かれた探偵恐怖小説。他に、母恋い小説、足フェチ小説など。興味深かった。

2022/09/05

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