三島由紀夫文学論集III (講談社文芸文庫)
三島由紀夫文学論集III (講談社文芸文庫) / 感想・レビュー
優希
つくづく「美」を愛した人だと感じさせられました。美意識に刻まれた人や作品を縦横に論じることで、三島の美学を見たような気がします。偏愛傾向はありますが、だからこそ三島は孤高の美の実践者として文学史の中で輝きを放っていたのだと思います。批評家としての三島はどこまでも精神と肉体と美という3つの要素を追い続けた文筆家だと言えるでしょう。三島イズムを全て見てきたことで、今後作品を読む目が変わるような気がします。
2016/10/15
佐島楓
〈大学図書館〉三冊読了。明晰すぎる頭脳を持つのも苦労が多いのかもしれない。読んでいて疲れた。不思議なことに小説なら疲れないのだが。川端への文学的な言及はあるのかなと思って探りながら読んでいたが、さほど参考にならなかったのは誤算、しかし三島への理解は増した。
2019/07/15
絶間之助
六世中村歌右衛門序説を読みたく、この本を読みました。私は晩年の歌右衛門しか見ていないのですが、猫背な姿勢、柔らかく動く手、輝く目が独特の雰囲気でした。舞台でも歌右衛門の周りだけは別世界のような。三島の言う、美とナルシシスムと悪の間然することのない複合体、金閣寺雪姫の孤独な愛の燃焼、冷たい情熱。なるほど、素晴らしい表現で感服しました。 これ以外では、葉隠とわたし、が面白い。武士道といふは、死ぬ事と見付けたり。愛読書だったらしく、心酔していることが分かります。それ以外の文は難しすぎて、着いていけませんでした。
2014/06/08
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