決壊 (講談社文芸文庫)
決壊 (講談社文芸文庫) / 感想・レビュー
ホッタタカシ
小林信彦には映画、文学、ミステリ、喜劇、10代のころからいろいろなことを教えてもらったが、私小説についても、導き手だったことを改めて思い出した。“物語”に惹かれて英米文学を学んだ小林が、なぜ私小説に早くから接近しているのかはよくわからないのだが、批評的な“小林タッチ”で描かれる芸能界、出版界の人物像がみな物悲しいのが印象的。複数の主人公たちが抱く「取り残された感」がいよいよよくわかる年頃になってしまった!
2012/08/03
ゆーいちろー
作者の私小説的な作品が多く収録されている。巻末の自筆年譜と照らしてこの頃の話だな、などと単純に結びつけるのは良くないと頭ではわかっていても、ついついそんな読み方をしてしまったりもする。作中では「パーティー」がひどく印象に残る。時流に乗り遅れて、苛立ち、焦ってはいるものの、どこか醒めて投げやりな主人公に、わたしはひどく共感してしまうのだ。「この作家は自分に向かって作品を書いてくれている」とは作者がある作品内で用いた太宰評だが、まさしくそんな心境に陥ってしまうのだ。
2010/11/04
KYOKO
たんたんとした感じ。
2016/03/17
笠井康平
「それでもどうにか食べていかねばならない」の憂鬱。
2011/06/27
テキィ
小林信彦を久しぶりに読む。この人の小説は、なぜか昔から心に陣割として深い印象を残す。自分が関西で何十年と暮らしても、やっぱり関東の人間なんだなと思う。そういう気持ちを再認識する本。
2008/08/10
感想・レビューをもっと見る