新しい人よ眼ざめよ (講談社文芸文庫)
新しい人よ眼ざめよ (講談社文芸文庫) / 感想・レビュー
kaoru
障害のある長男イーヨーとの共生を目指しつつウィリアム・ブレイクの詩に喚起された思いを綴る短編集。著者は死への怖れのなかで、ブレイクの詩やその生涯を辿りながら自らを奮い立たせる。幼少時の夢に起源を持つ「壊す人」のヴィジョンについて、生の無意識に近い領域を含めて自らが感じ考えることはブレイクのうちに予言されていた、と言う記述に驚いた。看過できない事件も起きるが、イーヨーの音楽的才能が発揮されていく過程や巧みなユーモアが描かれる箇所は嬉しい。死に至る時までブレイクを読み続けるに違いない、と書いた大江氏の訃報に→
2023/03/17
優希
自伝的でエッセイに近い気がしました。主人公が大江健三郎と重なります。日常を淡々と描く中で、そこに挟まれる知的障害を持つイーヨーの言葉が家族の絆と真の幸福を深く考えさせられます。嫌な部分も見せつけられますが、何故か透明な色調の印象がありました。優しい魂で呼びかけている感じがあり、清々しい気持ちになります。
2016/07/05
すしな
057-23.文豪らしく、重々しいしい感じで始まったのですが、父親の悲喜交々が溢れ出していて読み終えたことには、うるっとくる本でした。話の中心には、イーヨーがいるのですけれど、お父さんの話とか、亡くなった友達の話とか、昔のガールフレンドの話とかがあって、イーヨーを媒介して自分を見つめている感じでした。確かに男親ってそいうふうに息子を見ているところがあるなということに気づきました。最後のイーヨーが成人してイーヨーを卒業したところもよかったです。銀河鉄道の父とも似た雰囲気も感じました。
2023/05/12
こうすけ
これも面白かった。最後のイーヨー、泣ける。他の文学作品や自作からの引用が豊富で、特にブレイクは各章の縦軸となっている。この本だけで大江とブレイク、どちらも堪能した気分に。『個人的な体験』の裏話も出てきてアツいが、奥さんには見せられないだろう。救いある物語で、とても好きです。
2024/07/25
若布酒まちゃひこ/びんた
大江健三郎と村上春樹はなぜ同じ主題を「書き直し続ける」のか?/オブセッションと〝自己模倣〟 http://www.waka-macha.com/entry/2017/11/06/210000
2017/11/06
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