ベストセラーの構造
ベストセラーの構造 / 感想・レビュー
Tanaka9999
1983年発行、講談社のソフトカバー本。前半にある「読者層の拡大」の理由として挙げられている3つの理由は現代にも引き続いているであろう(現代にはSNSの発達が加わるかもしれないが)。交換の状況を論じた部分はかなり古い現象を追ったものとなっているが、しかしながらここに論じた内容を基礎として論じることもできるであろう内容。あと当時の作家を個別に取り上げている部分は面白いかな。
2021/08/11
kenitirokikuti
中島梓「文学の輪郭」(1977)から6年。『ベストセラーの構造』は1983年刊行である。わたしは1974年生まれなので、80年代の社会学ブームの記憶が十分にあり、いま読むとさすがにその退屈さに耐えるのが辛い/80年代前半では〈(一)高等教育の一般化(ことに高校全入の傾向)〉という事態が挙げられるのだなぁ、と改めて驚かされた。いま対応する事柄を置くと、モバイル環境の有無あたりかしら? /図書館にて借
2018/04/02
西村修平(偽)
83年に出された少し古い本。 千部しか売れない本と何百万部と売れる本の二重構造がなぜ生まれるかというと、作品そのものが重要ではなく、その本を通じてのコミュニケーションを重要としている知的中流階級がいるからである。 マスコミは何を買い、何を目標にし、何を読めば「正しい」のかを示唆してくれる。そして、ミリオンセラーを作りだすのもマスコミである。
2016/03/31
せと
ある本が何百万部売れる、という現象は一体何によって支えられているのかを分析していく。核となっているのは「一億総中流幻想」である。「皆が同じ」という幻想があるからこそ、自分のこと(例えば娘の不良化)も個別特有のこととして捉えられず、一般化されたイメージへと飛びつく(「積み木くずし」を読んで、「うちも同じ!」)。芸能人も作家も自分と「同じ」人間であることを確認したいがためであるかのように、彼らのスキャンダル記事は執拗に需要される。そして皆と「同じ」自分を確認するために、人はこぞって同じ本を買うのである。
2013/07/26
Kenshi
論を進めるのにいちいち一般化したり実証したりするより全部自分の中だけでやっちゃうほうが誠実なのかも。
2011/07/16
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