僕の昭和史 2
僕の昭和史 2 / 感想・レビュー
サトシ@朝練ファイト
戦後から羽田で飛び立つまで。片隅の小さな別世界ね。
2014/03/22
みや
安岡氏の見た昭和史。第二巻は敗戦直後から昭和35年まで。時に、氏の25歳から40歳まで。この間、脊椎カリエスやリウマチ熱の罹患、芥川賞受賞、結婚・子の出生、母の死など数々の転換期が訪れ、確実に「何者か」になっていく。氏は、流れ流されてついに四十を迎えた自身の主体性のない生き方を自嘲する。しかしながら、当人も指摘するように、人格形成期の全てを十五年戦争下に過ごし、敗戦により突如枷を外された世代の生きにくさは想像に難くない。「第三の新人」の仲間たちを中心とした文壇のエピソードがおもしろい。
2023/09/24
kamome555
そして戦後。苦しめられたカリエスの診断で医者から「だいぶよくなってる」と言われた時の描写もいい。『僕は、医者の言葉をききながら、半分夢を見ているようだった。開け放った診断室の窓から外を眺め下ろすと、さっき傍を通った運動場の赤土が見える。人影ひとつない運動場はガランとして、それ自体が嘘のように静かな光景だった。夏の日盛りの太陽を浴びて桜並木の葉は、青黒く繁っている。』 目に入る光景の描写から伝わる、静かな生の喜び。
2014/07/27
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