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山猫の夏

山猫の夏

山猫の夏

作家
船戸与一
出版社
講談社
発売日
1984-08-01
ISBN
9784062013864
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山猫の夏 / 感想・レビュー

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山口透析鉄

最初期に読んだ船戸与一さんの冒険小説で、これを読み、全部読もうと決心しました。この直前に読んだ作品はそこまでピン!とは来なかったのでしょうね。 言ってしまえば黒澤明監督の「用心棒」というか、更にその元ネタであるダシール・ハメット作品が元ネタなのですが、南米の地を舞台に、地元の地政学的な諸問題(植民地支配に起因する、今に続いている諸々の問題)を絡めた冒険小説、かつビルドゥングスロマンとしても一級品なので……後年の直木賞受賞作とかでも良いのですが、豊浦志朗名義の本などと併せて読むとより理解は深まるでしょうね。

1999/06/05

Majnun

この物語から感じるのは、南米のポストコロニアル政策が近代政治の病根を見事に凝縮しているということだ。パクス・ロマーナの時代からちっとも変わらない文明の押し付けと、それに抗う民族の精神。21世紀の今も世界を覆う戦争の火はほとんどが同じ過ちから成長した鬼火だ。船戸与一氏が冒険小説に仮託して描いた社会問題を感じ取れないのだとしたら、それはやはり教育の問題なのだろう。

2016/02/27

辺境の地ブラジルで欲に塗れた成金どもを片っ端から煽ってはぶち殺す悪漢山猫と補佐の日本人による冒険活劇。すべて山猫のシナリオ通りに動いているものの、補佐「おれ」視点で描かれているので、展開に予想が付きながらも胸が踊って仕方がなかった。上刊はそんな感じで腹の煮え繰り返るようなゲス共がバタバタ死んでくれて大変楽しく読めましたね!

2014/03/11

ハンギ

冒険小説家の船戸与一作品。初めて読みました。内容は安定しており、面白かったです。マンガの「ブラックラグーン」は影響受けているだろうなあと思ったりしました。主人公が革命運動に身を投じた元闘士という設定は「ブラックラグーン」にも引き継がれているように思います。次々とブラジルの片田舎や荒野で、人が殺される血なまぐさい作品ですが、所々作者の良心的な部分が垣間見れる気がします。体験からつくられた作品というよりも、白土三平や、他の作品からの影響がある作品です。参考文献に「悲しき熱帯」があったのは面白かったです。

2015/05/01

劉門 龍明

船戸与一の作品の時代の先見性は言うまでもない。ブラジルを舞台に対立する二つの家族。その戦いを利用して利を得ようとする日本人-山猫。スリルとアクションがふんだんに盛り込まれた作品である。船戸の作品は、読みやすくてしかも冒険小説として完成されているものが多い。私の肌に合うのだ。何度も読んでしまう。

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