イリヤ・ムウロメツ
イリヤ・ムウロメツ / 感想・レビュー
Ayumi Katayama
筒井康隆著、手塚治虫絵。なんと贅沢な。『北国。広大にして誉れ高きロシアの大地。』 これが出だしである。ん? ロシア? 筒井康隆の創作……ではないのか。ないようである。中村善和氏の『イリヤ・ムウロメツの周辺』なる寄稿文が添えられている。『イリヤ・ムウロメツ』とは、ロシアのブィリーナに登場する英雄なのだそうだ。ブィリーナとは下層農民に語り継がれた口承の叙事詩。そういう雰囲気が実によく出ている文体文章言葉。それでいてところどころに筒井康隆らしい表現があって、思わずクスッとなったりもする。
2021/01/01
空猫
『世界はゴ冗談』から。筒井康隆が文を書き、手塚治虫が挿し絵を描くという昭和60年の本だからあり得た豪華さ。『イリヤ・ムウロメツ』はロシアでは日本の「桃太郎」ほどに誰でも知っているお話だそうだが、子供に聞かせるには少し生々しいと言うか人間くさいと言うか…。ともかく、手塚氏のイラストの素晴らしさは言わずもがなだし、筒井氏の文は、あたかも弁士が朗々と語るような流れる言葉で書かれ、読み聞かされているような、声に出して読みたくなるような美しい文章だった。なんとも贅沢な一冊。
2017/12/06
tama
図書館本 「世界はゴ冗談」で、未読に気づいて。なんと昭和60(1985)版を61年に「福田町公民館図書」として購入したと記載してある。ここらにもいたんだなあ、筒井ファン。この頃筒井センセは若干ややこしい方向へ向かいつつあったと思う。そんな中でのこの「純粋ロシア民話」というのは・・・。なぜ翻訳しようと思ったんだろう?中身は民話として読めばリズム感もありなかなか面白い。手塚治虫の絵はP52のアリョーシャ・ポポーヴィチ、P93ボドソコリニクを投げ飛ばすイリヤ・ムウロメツが好き。デザインとして好きです。
2016/01/28
渡邊利道
イラストストーリーというよりも絵入り物語という雰囲気たっぷりの本。これも文体=ジャンル的実験なのだろうかなどとも思ったけども、筒井の世代的教養の一端を知るという感じもある
2017/09/10
偽南天
読んだ筒井の中ではちょっと微妙・・・
2012/07/29
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