カディスの赤い星
カディスの赤い星 / 感想・レビュー
禅
第96回(1986年)直木賞。スペイン・アンダルシア州カディス。サントス・エルナンデス作のフラメンコギター「カディスの赤い星」を巡り、日本のPRマンがスペインの独裁政治と反政府軍の戦いに巻き込まれていく。また日本のフラメンコチーム「グルーポ・フラメンコ」のメンバーの正体が明らかになるにつれ(少し都合の良過ぎる展開はどうかと思うが)話は意外な展開に。読み応えのある大作でした。
2018/07/20
活字ジャンキー
二段組の長編でしたが、飽きること無く最後まで衝撃的で感傷的な作品でした。悶着が手を替え品を替え漆田を襲い、舞台もスペインと日本を行き来しながら展開していく。漆田の昭和的魅力の溢れる格好良さも見所。スペインに無知であっても大変楽しめた。
2020/06/21
アーミー
第96回直木賞受賞作品であり、逢坂剛氏が初めて手掛けた小説とする作品。第一稿を書き上げてから本になるまで9年の歳月を要し、1986年に出版されたそうだ。主人公がスペイン人の依頼を受けて日本人のギタリストを探すという設定である。中盤中だるみのようなところもあるが、後半の謎解き部分に入ると、面白味がましぐいぐい引っ張られるように読める。スペイン、ギタリストとくると、フラメンコのイメージが膨らみ、小説の内容も次第にロマンティックな恋模様を含んでくる。切ないギターの曲が流れてきそうなラストに胸がしめつけられた。
2019/09/08
Kau
第96回直木賞受賞作品で、二段組429ページの長い作品でした。日本→スペイン→日本と舞台が変わるが、スペインでの後半から物語の展開が早くなって一気に読むことが出来ました。最後は切ない気持ちになります。
2019/10/31
さたん・さたーん・さーたん
楽器店からPRの仕事を請負うサラリーマンが一本のギターをめぐり日西を股にかけて様々な人の思惑に振り回されつつ、冴えわたる判断力で切り抜けていく。主人公のキレのいいユーモラスな軽口が、かなりの文量とそこに濃縮された冒険譚に清々しく風を通す。ハードボイルドな恋と活劇の余韻が読後じりじりと焦げ付いた。
2022/01/19
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