KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

浅草エノケン一座の嵐

浅草エノケン一座の嵐

浅草エノケン一座の嵐

作家
長坂秀佳
出版社
講談社
発売日
1989-09-01
ISBN
9784062045964
amazonで購入する

浅草エノケン一座の嵐 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

kirin

日中戦争の影が差す昭和12年。浅草が生んだ日本の喜劇王・榎本健一は「エノケンが殺された」というニュースにショックを受ける。殺されたのは、浅草で人気を集めつつあった劇団の座長・江の田軒助。健一も認める才能の持ち主だったー。「あべべべべ」や「むホ」などの擬音が多く、それぞれのキャラクターや、人をとことん信じるお人よしなエノケンの描写は面白かったが、現在の事件と過去の回想とのテンポがあまり良くないのか読みにくく感じた。また榎本健一が実在の人物とは知らず、どこが史実でどこからが虚構なのかよく分からなかった。

2016/11/06

Our Homeisland

この作者の名前は、ゲームがヒットした頃に読んだ「弟切草」で知っていました。乱歩賞ということで読んでみましたが、まずまずではあるのですが、「さすが乱歩賞だ!」というほどでは、なかったです。特別な方言や擬音が入ったせりふは、それほど、不快感は感じませんでしたが、特別に良いとも思いませんでした。当時の選者の選評が巻末に掲載されていたところにもあったのと共通しますが、当時の世相や喜劇、演劇、エンターテインメント界のことが、書かれているという点は、面白かったです。乱歩賞受賞作にしては呼んだ人が少ないのがさびしい。

2013/03/22

KJ

威勢の良い啖呵。鬼気迫る役者の芝居。臨場感溢れる舞台の描写。芸を表現する言葉の芸。演芸と文芸の競演が織り成す濃厚さに圧倒される。暗い世相にこそ人は笑いを欲する。戦時下で笑いを創作する事が如何に困難を極めたか。窮屈な時代は知恵を絞り工夫を凝らし新しい芸術を生み出す契機になる。理不尽に屈せず懸命に抵抗する舞台人の気概が伝わる。人には命を賭しても伝えたい想いがある。事件の謎を解く事は背後に込められた想いを読み解く事だ。魅力的な人物の造形。天才に歴史あり。笑顔の裏に涙あり。悲しみを知る故に喜劇王の芸に深味が出る。

2023/01/31

MIKETOM

第35回乱歩賞。全然面白くなかった。戦前の東京浅草の演芸の世界なんてのが好きな人ならいいんじゃないかな。俺はこういうのは全く興味がないのでダメだった。それにエノケンのキャラが好きじゃないし。ミステリーとして見ると、盲人が誰にもバレずに何年も暮らすとか、有り得ないだろう。お花とかカラスとか、ストーリーに都合いい人間を設定し過ぎ。殺人が発生して、ちょろちょろと追加情報があっただけで次は謎解き。探偵役の人間があれこれ悩みながら真相に少しずつ近づくなんて部分は全くなし。全体的にペケだね。しょうがないけど。

2016/12/29

黒い鴉

初読の時は、私は浅草もエノケン、ロッパにも興味が無い人間なので少々辛かったが、今回の再読にてその根本に有る戦争への憤りに感銘を受けた。また最初は軽快なテンポに乗りまくるエノケンたちの芸人言葉やおふざけが苦手だったが、今回彼らが暗い時代に翻弄されつつもそういう顔をみせている処が読めて辛かった。ミステリとして図解や見取り図が頻出して楽しかった。ベテラン脚本家の作だけあり、さりげない心の機微のシーンなどうまい。

2021/03/14

感想・レビューをもっと見る