ワイルド・スワン 上
ワイルド・スワン 上 / 感想・レビュー
優希
ここまで凄まじいノンフィクションがあるのかと思わされました。内戦が絶えず、恐怖政治の時代の中国に生きる女三代の苛酷な物語です。最初の纏足のシーンから引き込まれていきました。時代的には清朝末期から毛沢東の時代まで。価値観が覆されるほどの衝撃の連続です。時代の被害者であることが濃密に伝わってきました。中国の歴史を家族の悲劇の目から眺めることで恐ろしさすら感じます。下巻も読みます。
2016/01/31
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
日清日露戦争が終わり満州国から国民党と共産党との内戦、中華人民共和国へと続く20世紀の中国。その激動の時代を生きた著者、母、祖母と3代に渡る中国人女性の苦難に渡る物語。ただでさえ女性の地位が低い時代、歴史と運命に翻弄される。歴史的な事実だけで無く当時の中国の風習、慣習などもよくわかり興味深い。後半は彼女達にどんな運命が待ち受けるのか。
2016/10/16
aqua_33
再読。分かっちゃいるけど、読んでてやはり腹立つな。「ザ・狂気」という感じで、狂った政治の犠牲となった数多の中国国民が気の毒で仕方ない。今はこの頃に比べてマシにはなってるだろうけど、都市部と田舎の格差はまだまだあるし(国が広すぎるから仕方ないけど)、国民性の基本が変わるわけはないだろうから、私がこの国を好きになることはないな。中華料理は好きなんだけどね(^^;《2019年23冊目》
2019/07/23
たかしくん。
今更ですが実家で約20年積読状態でした。上巻は著者の祖母と母の時代の満州事変、国共内戦、共産国家の成立の間に漸く著者自身が生まれます。満州時代の日本軍の行状は、今現在の日本で出版されたら、これまた賛否両論が起きそうな内容ですが、そこは触れないでおきます。禁欲的な共産党員と結婚した母が、やがて夫妻共々で毛沢東の政策に疑問を感じていきます。第9章での「革命が人間の弱さを補うのに何もしていないこと、(寧ろ)弱さを最大限に利用することで成果を達成しようとしていること」の下り、これに尽きるでしょうね。
2014/11/16
Willie the Wildcat
筆者の祖母の代からの壮絶な中国史。1909年から1965年における、日本の統治時代の世代を超えた差別、ロシアの略奪、国共の内戦、そして共産党による「思想改造」。階級、人間不信・猜疑心。印象深いのは筆者の「革命は人間の弱さを補うのか、利用するものか」という一言。日本の戦時中の言語統制や軍閥も一種の階級制度であり、そういった意味で「人間の欲」に泣かされるのは庶民であるのはどこも同じと感じた。さて、後半いかに話が展開するのかが楽しみ。
2011/10/10
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