居場所もなかった
居場所もなかった / 感想・レビュー
ホレイシア
一人暮らしの女性の東京での、もっと言ってしまえば多摩地区でのお部屋探しの大変さを描いたコメディー(?)である。この中に「箱根の関を越えると」云々という記述があり、そういう発想をしたことがなかった関東の人間はぶったまげた。なるほど、箱根の関所はまだ意識の中で生きているのだなーと妙な感心をしたりした。
2008/07/01
けいこう
語り手は三度引越しをする。作中作のようでもある誇張された二度目の引越しの顛末は、二度目と三度目の間に書き始められる。オートロックに仮託された自分の場所への期待はなかば騙された二度目の引越しで失敗し、騒音に悩まされる。期待を打ち砕かれた語り手が書くこと、自営することで、乗り越える話だろうか。いや、違うかも。二度目の引越しについての小説は編集者から認められない。でも書かれた話、か。語り手ははじめての単行本などにより自営することが出来るようになる。自営のためでなくても、小説を書いていくという話かも、などと思う。
2019/04/23
梟をめぐる読書
たとえ文芸誌に名前が載っていても世間的には「なにもしてない」ことにされてしまうし、アパートの部屋も満足に借りられず、ひとりぼっちで泣いてばかり。良いものじゃないわよ、物書きなんて。(作家の「お部屋探し小説」は西村賢太と中原昌也に続いてこれで三例目。まだまだあるかな?)
2011/10/09
サワ
「いくら部屋を探して引越しをしても、どこにも居場所がない」という主人公の感覚が切実で、苦しくなった。
2010/03/01
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