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恢復する家族

恢復する家族

恢復する家族

作家
大江健三郎
大江ゆかり
出版社
講談社
発売日
1995-02-01
ISBN
9784062075107
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恢復する家族 / 感想・レビュー

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うめ

言葉に対する感受性の高さに唸る。生きているからこそ、傷口は治るのであって、命無き屍や物は、自力での恢復は不可能だ。盛り上がった傷口、歪に引き攣れた痕。生きる事を最優先した仕様はぱっと見た目では醜くおぞましくうつることも有るだろう。だけれども、生きている、傷を乗り切った後の証左だと思えば、闘った後の美しさすらにじみ出て見える。恢復とはまごう事なき”生きた・生きている”証なのかもしれない。

2018/04/08

Midori Nozawa

本当によい本でした。大江さんにはちょっと構えていた私でしたが、優しさがあり、とても良かったです。本書に出て来る井伏鱒二、井上靖、正岡子規は必ずや読んでみようと思いました。光さんが音楽に興味を示し、適切なそして良い指導者に恵まれ、作曲に目覚める過程。光さんを囲む家族4人で歩む中で学ぶ。光さん、障害者を家族にもって小説家として自分を確かめることもできました。光さんの二度目のCDは暗い。その暗さは彼が音楽を深めた証拠でもある。私は思春期からずっと生きることの暗さに打ちのめされてきた。それは大江さんも同じなんだ。

2020/04/20

sabosashi

 よく考える、ということができない。一瞬、思いついたことがすべて。それが大江のコンプレックスだったという話あり。この場合は、物書きという人種は文を綴ることによってはじめて考える、というようなことを意味する。つまり音楽家は五線譜のなかで考える(つまり大江の息子のこと)。画家は描きながら考える。世の中にはすらすら思っていることを喋り通せるひともいて羨ましく思える。でも文で考える人は概して口下手ということ。まあ、そんなことも記してあって、ただの家族リポートとも異なっているようである。

2024/08/20

sa-

帰らなかったセルを読みたくて、再読しました。で、ブレヒトの「セルの書」も購入。謹直なユーモア、ジャストミート、つらい人等々、この本が私にとって、大切な一冊であることを再認識しました。ブレヒトは音読^^

2022/02/12

絶対音感のある光が「今日の大岡先生は一音低い」と言ったその日、大岡昇平氏は亡くなった。その後何年もしてからも光は大岡さんの優しい励ましの声を聞きつつけているのかもしれず、もっと一般化して我々の生活に懐かしい死者の声が時おり聞こえてくるようであれば、そのような暮らしはどれだけ豊かで奥深いものとなることだろうか。

2015/12/22

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