新・今川記戦国幻野
新・今川記戦国幻野 / 感想・レビュー
onasu
初めて読む作家さんで、戦国期、あまり描かれてこなかった今川義元の物語を読むことができ、まずは上々。 戦国大名の中でも、名家で文武共に力のあった家ですが、著者のあとがきにあるように「史書ではつまらない役割を強調される」ばかり。討たれるべくして討たれた訳じゃない。その辺りも含め、戦の記述は物足りない。 また、同じくあとがきに、正史に嘘を取り混ぜて云々、とありますので、あくまで好みの問題ですが、物語に色や厚みを加えるにしても、違和感の残る構成でした。但し、氏真の描き方は、おもしろかった。
2013/05/06
fukufuku
義元が少年僧として京へ赴くところから、彼が信長に討たれ、信長が天下に王手をかけたあたりまで。 皆川さんらしい幻想今川記となっています。 歴史物は王道を描くか、こうだったら面白いなを描くかがほとんどですが、本作は「いや、これはありえないでしょ」という設定てんこ盛りです。なのに史実とされる大筋には矛盾はない。そして、なぜか不思議と抵抗なく味わえる。
2020/03/31
アンパッサン
情景描写が氏らしく美しい。しがらみが、かなり複雑になっているが、新しい今川家の立ち居振る舞いを表現したんじゃないかな? 我執に縛られる登場人物たち。けど結局、それを手放した者たちだけがどんな姿になっても、巷を、虚空を、ゆくことができる。承芳も、氏真も、そしてあの男も。照日の愛が深かった。
2022/09/09
ヘムレンしば
二つばかり史実には無い設定があるのですが、戦国時代の今川家五人兄弟の数奇な運命と、兄弟間の愛憎劇を描いた作品です。富士の修験者や歩き巫女山住みの者など怪しげな輩も登場し、非常に幻想的で怪奇な物語です。戦国武将でありながら、公家風の雅な所もある今川家にぴったりなイメージですね。最後にこのような奇怪な兄弟の物語から誕生した奇怪な人物、今川氏真の描写も良いですね。一般的には戦国武将として愚かな惨めな人物として描かれるのですが、本当の勝利者は氏真かも知れない?と思わせます。
2012/08/17
今西行
氏真の描かれ方が素晴しい。今川家の人々の、命をかけた戦いの成果こそが彼の存在なのだと思った。
2011/02/15
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