夢を見ずにおやすみ
夢を見ずにおやすみ / 感想・レビュー
masa@レビューお休み中
それが、夢でないことは知っている。はじめから知っているのだ。叶わねことも、届かないということも、手に入らないということも…。知っていると、納得しているは違う。どんなに身の程知らずで、身の丈に添ってしなくても、無理して頑張ったり、大丈夫なんじゃないかって高を括ってしまうことがある。渦中にいる人間は、重大な過ちを犯していることにすら気づかない。一生懸命相手を繋ぎ止めようとしたり、まだ間に合うと過信したりしてしまう。夢は見ない方がいい。夜の夢も、憧れの夢も見ない方がいい。
2012/08/09
ひめか*
みんな不条理な中で生きている。父親の愛人の世話を頼まれる和広、夫の元愛人の結婚相手に会ってほしいと頼まれる信代、夫との関係が芳しくない淳子の連作短編。結末が決定的ではないので、何とも言えないが読後感は悪くない。和広目線だと頭のいい淳子が眩しく見えたが、淳子もダメな父親を持ち音大に行く夢も叶えられず、夫は何もしてくれない。虚しくて切なくなるが、鷺沢さんには、不条理な人生でもいいじゃない、夢を見ずにおやすみと言われてるような心地がした。読みやすく私が生まれたくらいの作品だが、いつ読まれても良い作品だと思った。
2019/05/28
あるちゃ
手持ち本の再読。 『今日も未明に電話は鳴った』 人を好きになってバカを見て生きていくのがいいのか、好きじゃないところを見つけてでも自分を保って生きるのがいいのか。 不思議な関係の二人。 でも不思議な関係でなければ交わらなかったであろうと思わせる二つの人生の時の重なりを見るのは興味深くありました。 『あなたがいちばん好きなもの』 まあ結婚に至る頃のことなんてあとから振り返れば誰でも大なり小なり「ワアッ」なんじゃないかなぁ。なんてね。 『夢を見ずにおやすみ』 この母と娘の関係、全然似てないのに私を母の関係に似
2016/12/05
あるふぁ
大学に無事受かった日に読んだのが初読。「夢を見ずにおやすみ」というタイトルがその時の気分にぴったりすぎて、中味覚えてなかった。つながりのある3人のお話。まだ、ちょっと堅さがあって、この頃のメメゾーさんの文章の感じ。結構好き。やるせなさ満載の不条理加減というか。でも、人生そういう不条理なこと多いよね。っていう感じがキラいじゃない。
2011/02/18
もとやん
サギサワの文壇デビューは鮮烈だった。そして、その最期も。「夢を見ずにおやすみ」とはサギサワ自身に向けられた言葉だったのだと思う。「バクはあたしが食っちまったよ。腹が減っていたからね。バクごと食っちまったよ。」と低い声で言うサギサワが目に浮かぶようだ。
2013/02/02
感想・レビューをもっと見る